全天候型行動から雨天中止へ(2) – 岩崎元郎の山談義

「山談義」4回目は、『全天候型行動から雨天中止へ』と題して、二つの拙文を紹介する。いずれも山に対する取り組み方を論じている。

一つ目は「悪天候と山」。本格的な登山修行をはじめたときから、天気が悪いという理由で登山中止することはなかった。そのいきさつが「悪天候と山」。

しかし、自分もご一緒する皆さんも高齢化するに従い、雨天中止を選択肢に含まざるを得なくなった。そのあたりの事情が二つ目の「雨天中止」である。

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雨天中止

毎月15日、会員諸賢にDMを発送している。メインは3ヶ月先のご案内。即ち6月15日発送のDMは、9月に予定する山行のお知らせになる。「9月7日(日)龍崖山」といった具合にだ。

1981年5月、ネパールから帰国してプラプラしていたぼくは、街の山岳会が登山学校として機能しなくなっているのに気付かされ、この年の11月、無名山塾を誕生させた。

岩登り・沢登り・雪山登山の基本を学んで貰おうという場を創ったのである。

83年11月、中高年と女性を対象にした(日本百名山をめざすような)登山入門講座を開講したいということで、サンシャインシティ文化センターから声がかかった。

机上講座はサンシャインシティ文化センターで開講、実技は無名山塾で引き受けた。実技講座には「中高年と女性のための山の遠足」とネーミングした。

昭和山岳会で登山の基本を学んだぼくの教科書に、「雨天中止」という言葉はなかった。

どんな悪天でも一歩踏み出せ、踏み出して行動できるなら行動しろ、行動出来ないような悪天だったら、そこで初めて行動中止を決断すればいい、と教えられた。「山の遠足」でも、その考え方を踏襲した。

「原則、雨天決行です」とメンバーには伝えた。

東京で雨が降っていても、現地は晴れているかもしれません。どんな悪天でも集合場所までは行きましょう。集合場所で行動出来ないような悪天だったら、そのとき中止を決める。

現地が土砂降りで山行を中止にしたら、近場の温泉に行ってもいいし、東京にUターンして映画を見に行ってもいい。

朝、我が家の玄関をでるとき、どんな悪天であれ現地まで行くことになんの疑問も感じることはなかった。

65歳を過ぎた頃だったろうか。朝、目を覚まして外を窺うと土砂降りの雨、この天気で行く・・? 

ぼくの心に初めて逡巡が生じた。

雨の中だって、山を歩いていれば幸せだったのに、雨の中、歩くのが嫌になってきたのだ。我がことながら情けないというか、不可思議な考え方の変化である。

トシのせいにすると先輩諸氏からお叱りをうけるが、間違いなくトシのせいだと思う。

体力がなくなった。バランスが悪くなった。持久力がなくなった。自分もそうだし、ご一緒する皆さんもそうなのだ。

若いときならいざ知らず、このトシになっての雨天決行はリスクが大きい。ぼくの作った新しい山の教科書、「65歳からの山歩き」には「雨天中止」という一項目が加えられた。

もちろん、前日の天気予報だけを信じて山行中止にするようなことはしたくない。当日の朝、布団から抜け出したらまず窓の外を見る。

運が良ければ予報が外れて、青空が広がっているかも知れない。残念ながら予報通りの雨降りならあっさりあきらめて山行中止を決断、参加の皆さんに中止の電話を入れる。

メンバーがお家を出る時間をチェックしておき、その前に電話しなければいけない。当たり前か・・。

岩崎元郎(日本登山インストラクターズ協会会長/無名山塾主宰)

1945年東京生まれ。1963年昭和山岳会に入会し本格的な登山を始め、1970年に蒼山会を創立、1981年ネパール・ニルギリ南峰登山隊隊長、同年「無名山塾」を設立し登山者の育成を始める。1995年~1999年にかけてNHKテレビ「中高年の為の登山学」の講師を務め、日本百名山ブームの火付け役となる。多くの登山者と登山指導者を育てた登山指導の第一人者で、現在は「登山者と登山指導者の育成」と「安心安全登山の啓蒙活動」を進めている。著書多数。

岩崎元郎の山談義シリーズ

NHKテレビ「中高年の為の登山学」の講師を務め、日本百名山ブームの火付け役となり、多くの登山者や登山指導者を育成してきた日本の登山界のレジェンド・岩崎元郎による、山談義。タメになる山のお話やエッセイを不定期に連載するコーナーです。

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次回開催日

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会場

(株)キャラバン本社8F レセプションルーム

巣鴨駅より徒歩3分 豊島区巣鴨1-25-7

参加費

無料、要予約

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