登山を続けていると、独学ではどうしても限界を感じる段階がありませんか?
例えば、ツアー登山やガイド山行、山仲間に連れられての登山の経験はあるが、次のステップとして自ら行きたい山について計画を練り、仲間を率いての登山がしたい。
あるいは、一般登山道にこだわらない岩登り、沢登り、雪山・バックカントリーなどのバリエーションルートへとステップアップする過程で、自分にはそのための知識やスキルがないこと(=遭難予備軍であること)を認識した。
そもそも、単独行や即席のメンバー同士による山行では、岩登り、沢登り、雪山・バックカントリーなどのバリエーション登山へとステップアップできないと感じる。
こういった課題に直面したとき、どのように解決していけばよいでしょうか・・・?
これらに共通することは、自らの知識と技術、判断で道を切り開いていくような冒険心を駆り立てる登山を意識し始めていることと筆者は考えます。
そして、このような登山を行うためには(上述した課題を解決していくには)、組織的な登山が必要になってくるんです。ここでいう組織的登山・・・いくつかの意味が込められた言葉ではあるのですが、平たくいえば「登山という冒険をするための仲間が必要」ということです。
そしてその仲間になるには、あるいは仲間を作るには、まずベースとしてそれらに必要な知識やスキル、そして判断力などが求められてきます。
無名山塾の登山本科では、まさにそういった技術をご自身のペースでトータルに学ぶことができ、また受講を通じて登山仲間との出会いにもつながる新しいカタチの登山講習会なんです。
無名山塾登山本科の特徴
1981年秋、登山家 岩崎 元郎/いわさき もとお(NHK番組「中高年のための登山学/1995年~」にて講師を担当)により、登山の技術指導を主体とする「無名山塾」が立ち上げられました。その最大の特色は『一定期間に亘るカリキュラムに則った有料講習と、一般的な山岳会の要素を融合させた』ところにあります。後にそのシステムは、新しいビジネスモデルとして登山界に広く知れ渡り、現在数ある登山教室や定期プログラム講習会の先駆けとなりました。
ビジョン
発足から現在に至るまで『自立した登山者の育成』を主旨として掲げていますが、その根底には、『初級クラスのバリエーションルートを、パーティーを率いて登れるリーダーを育てること。それには単独行では成し得ないパーティー登山に着目し、山行の企画から実践並びに危機管理等の課題を遂行する上で「リーダーシップ」広くには「メンバーシップ」とは何かを考え、ひいては人間性について学ぶ』という意味が込められています。
会員の年齢層
年齢層は30代から60代、男女比は約〔男7:女3〕です。年齢による入会制限については、ご自身のモチベーションと基礎体力の維持に期待し、特には設けていません。
趣向
四季を問わず縦走・岩登り・沢登りを始め、読図にこだわった藪山や雪山縦走、あるいはトレイルラン・アイスクライミング・山スキーに至るまで様々です。
プログラム詳細
登山本科技術委員の定める、登山の基本技術項目15単位を入会者ご自身のペースで、およそ3年以内をめどに受講いただきます。この15単位については、1981年の発足以来、時勢の影響を受けつつ変遷を重ね淘汰された、言わば洗練されたカリキュラムとなっています。そしてチーフリーダー(本科代表者)による全課程の修了が認められると、希望者には新たに無名山塾の仲間としての活動の場も設けられています。
基本修得項目15単位
- 机上集会への参加: 年/10 回(設定回数は求めませんが、可能な限り参加が望ましい)
- ボッカ山行: 11 月末~12 月初(丹沢/大倉尾根 男子 30kg・女子 25kg)
- 読図を学ぶ: 10 月
- 岩登りを学ぶ: (日和田など2回ほど)
- 沢登りを学ぶ: (丹沢・奥多摩の1級の沢など、2 回ほど)
- 夏山サバイバルと A1 クライミング: 7 月(岳嶺岩など 自己脱出・ピバーク訓練・渡渉技術など)
- カモシカ山行: (夜間歩行を含む、長距離歩行訓練)
- 救助訓練: (岩場でのレスキュー訓練など)
- 富士山ピッケル・アイゼン訓練: 12 月中旬~下旬(富士山 6 合目付近)
- 残雪期の歩行技術・リスク回避研究: 3 月末~4 月初(谷川連峰:湯檜曽川周辺 雪崩ビーコン・ロープワークなど)
- 積雪期の泊まりを研究する: 3 月(雪洞山行)
- ラッセル山行: 2 月(ワカン歩行とラッセル技術を学ぶ)
- アイスクライミングから学ぶ: 1 月
- 無雪期テント山行(テント泊)
- 積雪期テント山行(テント泊)
(注)
- 項目としては15項目ですが、山行回数はそれよりも多くなります。
- 同等の他の企画で修了と認定する場合があります。
- 実施時期は目安です。
講習の特徴
登山技術の習熟を目標に、下記3つの課題を柱として構成されています。
- 基本技術の反復…現在の登山界において一般的に通用する技術をスタンダードとして、すべての会員はこれを繰り返し練習し、身体で覚えてゆきます。
- 基本技術の応用…基本技術をどう生かすか、本科技術委員会が企画する本番ルートにて実践を行います。
- 自主研修…山行の計画から実践・報告までを、主催者企画ではない複数の会員のみで行います。
会員は上記3つの課題に共通する、既存の会員が新会員への指導(バックアップ参加)に当たることで、自らの「うろ覚え」を露呈させ、「指導する者」と「指導される者」とが共に学ぶ環境を作り出しています。
指導方針
A「危険とされる要素を排除してゆく姿勢」と、B「安全とされる技術を求めてゆく姿勢」との違いにこだわり、本科では「A」に準じて指導しています。Aは別の例えで「ハインリッヒの法則」(俗にヒヤリハットの法則)に則っています。それは事故に至らなかった事象を無くしてゆくことで、大事故を未然に防ごうとする一種の確率論です。Bは使用者の応用力を阻害する要因になり得ると考えています。
わかりやすいように両方の差異を別の表現に直したものを以下に記します。
A「危機管理→能動的である」…技術(以下、道具や方法の意味を含む)を扱う者が、その危険要素を理解しているがために、様々な技術の使いこなしについて考える状況が生まれ、応用力が育まれる。結果、安全策はどの技術でも自動的にとられる。
B「安全管理→受動的である」…安全策としての新しい技術が第三者等から紹介される度に、それまでの技術が必要以上に危険視される傾向にあるため、安全とされる技術への乗り換えが繰り返されるだけで、応用力が育まれない。
講習担当者
教示や指導という観点から、公益財団法人 日本スポーツ協会公認 山岳上級指導員、若しくはチーフリーダーがそれと同等の実力者と認めた者のみがこれを務めます。
また、各担当者は、多種多様な登山技術の変遷に敏感であること、そのために一組織(各山岳会・各協会)内に伝わる技術のみにとらわれず、上部団体や他協会等より技術刷新のための情報を入手し、検証・研修を重ねた上で本科内に還元することを心掛けています。
費用
- 入会金 10,000円
- 年会費 8,000円
- 山岳保険諸費用(1年間) 9,060円
- 遭難対策基金 10,000円
- 合計 37,060円
※1)山岳保険料は入会月により、月割計算(減額)されます。
※2)山岳保険料は3,830円増しで通院保証付に変更できます。
講習風景
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登山の総合スキルを体系的に学びたい方必見!
当サイト「GoALP – 山を楽しむ人のための安心・安全登山メディア」の監修者でもあり、登山を教えることのできる者が集まった非営利集団で、山岳事故を減らすための啓発活動をしている日本登山インストラクターズ協会(2013年創立・岩崎元郎代表)が、来春より開催する6期目「JMIA登山講習会」の受講者を募集しています。あなたも、一年かけて実際に山に登りながら山岳指導者の手ほどきをうけてみませんか?
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