山登りで改善したい3つのポイント – 山の相談小屋

アクティビティ:一般登山, カテゴリ:全般的なこと
相談者:H.K (女性/60代)
三年ほど前から登山を始め富士山を始め、奥多摩や丹沢、秩父の山に登っています。毎回標準コースタイムよりは少し早く登山できているのですが、それぞれの山を登り、登っていて登りやすい山、登るのが苦手な山があります。そう感じるのは標高ではなく山のタイプによるのもだと気づきました。毎回下山して今日の登山を振り返るたびに次のことが反省点になります。
何か良いトレーニング方法はありますでしょうか?
①急な上りになると一気にペースダウンする。
②3000m級の登山は体調にもよるのですが高山病なのでしょう、食欲がなくなりエネルギー補給がうまくできなく体力ダウンする。
③ガレ場は慎重に登り過ぎてしまいます。上手な登り方はありますか。

現在60代、2人登山中心、毎年5月頃から10月頃までに7.8回登山に行っています。
よろしくお願いします。

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JMIA認定インストラクター
栗山 祐哉
登山教室 Kuri Adventures 代表主任講師の栗山です。

山行日数が月に一度程度とのことなので、山で鍛えられた分は次回の山行までに元に戻ってしまうものと考えられますので、日常的なトレーニングが欠かせません。
ご年齢を考えるとどうしても大腿四頭筋が弱くなるので、毎日スクワットを行う習慣をつけると良いでしょう。また生活の移動手段を自転車にすることでも、持久力向上に役立ちます。その際、心拍数を ” 220 – 年齢 × 0.7 ” 程度に留めます。この心拍数をキープした状態で長時間運動を行う習慣がつくと、エネルギーの多くを脂質から生み出せる体になっていきます。
疲れない登山を行う上で、この体質改善がとても重要となります。

① 急な登りでペースダウンする

これは当然そうなります。同じペースで歩いてしまっては、アッという間に心拍数が上がってしまいます。心拍数の乱高下は疲労の原因になりますので、常に上記計算式で出される心拍数前後を維持することを心がけます。(ハートレートモニターが搭載された時計を使うなどし、心拍数管理をしましょう。)
急な登りではゆっくりと歩く事が大切です。

② エネルギーを摂りにくくなる

高度が上がったり、疲労が蓄積すると吸収能力が低下します。ジェル系の行動食を使用し、こまめに糖質摂取しましょう。
心拍数が上がると糖代謝エネルギー生産率が上がります。人間の体の中には2000kcal程度の糖質しか蓄えることができません。最大でも50%程度までしか脂質代謝によるエネルギー生産はできないので、糖質が枯渇するとエネルギーが効率よく生み出せなくなります。
こまめに糖質摂取しながらゆっくりと行動することで疲労を防げ、結果標高による消化吸収能力の低下も最低限に留めることができるようになります。

③ ガレ場の歩行

不安定な地形での歩行はある程度慣れもありますが、トレーニングでもある程度改善できます。バランスを崩さずに安定的な荷重移動ができれば、不安定な地形の苦手意識は克服できるのではないかと思います。
腹筋や背筋、スクワットなどの筋トレで体幹筋群を鍛えるとともに、片足立ちのトレーニングをするなどし、日頃からバランス感覚を鍛えておきます。また静荷重静移動による歩行法をしっかりとイメージし、日常的に階段などで練習し技術を身に着けておきましょう。

絶対的な体力を鍛えると言うよりか、テクニックの問題の方が大きいと思います。
トレーニングも無理せず、コツコツ続けて行きましょう。
山行中は今よりもっとずっとゆっくり歩き、代わりに休憩回数を半分にするなどしてみて下さい。
結果、到達時間はほとんど変わらないままに疲労感は大幅に軽減すると考えられます。
ご参考にして頂ければ幸いです。

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