②3000m級の登山は体調にもよるのですが高山病なのでしょう、食欲がなくなりエネルギー補給がうまくできなく体力ダウンする。
③ガレ場は慎重に登り過ぎてしまいます。上手な登り方はありますか。
現在60代、2人登山中心、毎年5月頃から10月頃までに7.8回登山に行っています。
よろしくお願いします。
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栗山 祐哉
山行日数が月に一度程度とのことなので、山で鍛えられた分は次回の山行までに元に戻ってしまうものと考えられますので、日常的なトレーニングが欠かせません。
ご年齢を考えるとどうしても大腿四頭筋が弱くなるので、毎日スクワットを行う習慣をつけると良いでしょう。また生活の移動手段を自転車にすることでも、持久力向上に役立ちます。その際、心拍数を ” 220 – 年齢 × 0.7 ” 程度に留めます。この心拍数をキープした状態で長時間運動を行う習慣がつくと、エネルギーの多くを脂質から生み出せる体になっていきます。
疲れない登山を行う上で、この体質改善がとても重要となります。
① 急な登りでペースダウンする
これは当然そうなります。同じペースで歩いてしまっては、アッという間に心拍数が上がってしまいます。心拍数の乱高下は疲労の原因になりますので、常に上記計算式で出される心拍数前後を維持することを心がけます。(ハートレートモニターが搭載された時計を使うなどし、心拍数管理をしましょう。)
急な登りではゆっくりと歩く事が大切です。
② エネルギーを摂りにくくなる
高度が上がったり、疲労が蓄積すると吸収能力が低下します。ジェル系の行動食を使用し、こまめに糖質摂取しましょう。
心拍数が上がると糖代謝エネルギー生産率が上がります。人間の体の中には2000kcal程度の糖質しか蓄えることができません。最大でも50%程度までしか脂質代謝によるエネルギー生産はできないので、糖質が枯渇するとエネルギーが効率よく生み出せなくなります。
こまめに糖質摂取しながらゆっくりと行動することで疲労を防げ、結果標高による消化吸収能力の低下も最低限に留めることができるようになります。
③ ガレ場の歩行
不安定な地形での歩行はある程度慣れもありますが、トレーニングでもある程度改善できます。バランスを崩さずに安定的な荷重移動ができれば、不安定な地形の苦手意識は克服できるのではないかと思います。
腹筋や背筋、スクワットなどの筋トレで体幹筋群を鍛えるとともに、片足立ちのトレーニングをするなどし、日頃からバランス感覚を鍛えておきます。また静荷重静移動による歩行法をしっかりとイメージし、日常的に階段などで練習し技術を身に着けておきましょう。
絶対的な体力を鍛えると言うよりか、テクニックの問題の方が大きいと思います。
トレーニングも無理せず、コツコツ続けて行きましょう。
山行中は今よりもっとずっとゆっくり歩き、代わりに休憩回数を半分にするなどしてみて下さい。
結果、到達時間はほとんど変わらないままに疲労感は大幅に軽減すると考えられます。
ご参考にして頂ければ幸いです。
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当サイト「GoALP – 山を楽しむ人のための安心・安全登山メディア」の監修者でもあり、登山を教えることのできる者が集まった非営利集団で、山岳事故を減らすための啓発活動をしている日本登山インストラクターズ協会(2013年創立・岩崎元郎代表)が、来春より開催する6期目「JMIA登山講習会」の受講者を募集しています。あなたも、一年かけて実際に山に登りながら山岳指導者の手ほどきをうけてみませんか?