火山を登る際に気をつけるべきこと – 山の相談小屋

アクティビティ:一般登山, カテゴリ:遭難・トラブル防止
相談者:みわ (女性/40代)
今回の草津白根の噴火はびっくりしました。亡くなられた方のご冥福と、怪我をされた方の一刻も早い回復を心よりお祈りいたします。また近年では、御嶽山の噴火の件も記憶に新しいですが、日本には他にも火山はたくさんあると思います。立山や箱根なんかもそうですよね。
立ち入りが規制されていない火山を登る際に気をつけるべきこと、必要な装備などあれば教えてください。

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JMIA認定インストラクター
大津 洋介
 ご存知の通り、わが国は最高峰の富士山をはじめ多くの山々は火山です。昔聞いたことがあるかもしれませんが、活火山、休火山、死火山と歴史の活動状況から分類していました。しかし火山の寿命は長く歴史時代の噴火活動の有無から分類することは意味がないことから、最近は休火山、死火山の分類はなくなり、現在は活火山のみとなりました。
 活火山は「概ね過去1万年以内に噴火した火山および現在活発な噴気活動がある火山」と定義され、現在111選定されています。この中から「火山防災のために監視・観測体制の充実の必要がある火山」として50火山が選定されています。気象庁はこの50火山について噴火警報等を適確に発表するため、多くの観測機器を設置し、24時間火山活動の監視観測を続けています。これらの観測値から38火山について現在の噴火警報レベルが設定されています。噴火警戒レベルはレベル1~5の5段階評価で「警戒の必要な範囲」と「とるべき防災対応」が設定されています。その中には登山者・入山者への対応も表記されていますので一度目を通してください。火山に登るときには最初にこの噴火警報レベルをチェックしましょう。詳しくは次の気象庁のHPで確認できます。
http://www.jma.go.jp/jp/volcano/map_0.html
 富士山などでは自治体などから噴火時避難路ルートマップなどが発表されています。出発するまでにそれらをチェックして、印刷して地形図と共に携帯することがお勧めです。
https://www.pref.yamanashi.jp/bousai/documents/yamanashihinann.pdf
 噴火警報レベルが1ならば特に立ち入り禁止もありませんが、火口に近づかないこと、噴気には猛毒の硫化水素が含まれていることもあるので近づかないこと、通過が必要な場合は速やかに通過しましょう。谷地形の所では風の強くない時、ガスがたまることもあるので近づかないのが無難でしょう。入山している時には噴火した場合の避難路、避難できる山小屋などをチェックしておきましょう。
 レベル2以上になると立ち入り規制や入山規制があります。百名山の浅間山は現在レベル2で火口周辺の立ち入りは禁止されていますが、それを無視して山頂に登る方が後を絶たないようです。たいへんに危険ですので立ち入り禁止区域には絶対に立ち入らないでください。
 装備はヘルメットがあればある程度噴石から身を守ることが可能です。御嶽山の噴火以来山小屋には多くのヘルメットが用意されていますのでいざという時は役に立ちます。また、噴煙や火山灰が充満したときは濡れ手ぬぐいを鼻と口にあてて避難してください。
 噴火は自然現象、何時どこで発生するかわかりません。火山に登るときはそれを心して登るべきと思います。

参考資料)気象庁HP 知識・解説>火山
http://www.jma.go.jp/jma/menu/menuknowledge.html

解決相談者:みわさん
大津さま

詳しくありがとうございます。恥ずかしながらしらなかったことも多いです。
火山に登る際には心して登りたいと思いました。ありがとうございました。

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