「いいね!」すると登山に関する情報を受け取れます↓
松本 善行
ロープ2本を使用する点で共通していても、その仕様は大きく異なります。大きな違いはルートコンディションによって使い分ける点です。各仕様は、国際山岳連盟(UIAA)におけるスタンダードフォールテストによってその基準が明確に異なっています。数値に関してはご質問から少し離れますのでここでは割愛します。
また、「ダブルロープ」は正確にはシステムの名称であって、ロープそのものの名称は「ハーフロープ」です。
ダブルロープシステムにおけるハーフロープの使い方:リードが中間支点を取る際、ルートの屈曲に対して、ロープドラッグ(摩擦でロープが動かなくなること)を少なくするために、2本あるロープのうち1本をクイックドローのカラビナにかけてゆくもの(交互とは限りません)。
ツインロープの使い方:リードが中間支点を取る際、シングルロープと同様の扱いで、クイックドローのカラビナに2本ともかけてゆくもの。
上記を踏まえると、ハーフロープはジグザグと屈曲するルートに向いている。日本のアルパインルートには特に向いています。理由は確保理論に触れざるをえないのですが、墜落の際、ロープドラッグによる衝撃がクライマーや最終ランナーに与える影響を考慮する必要があるからです。
一方、ツインロープは、ロープドラッグの少ないヨセミテなどの海外の岩場や、アイスフォールなどの直線的なラインを持ったルートに適しているといえます。
ご質問の内容とは少し離れますが、シングルロープに対しての比較は、ハーフ・ツインともにロープの伸び率を高くするためにロープ径を細くし、そのための強度低下を補うために2本仕様という点に注目していただきたいと思います(伸び率が高くなると、クライマー・ビレイヤー・プロテクション(支点)にかかる衝撃値が軽減されます)。更には、1本よりは2本あれば、万が一の時のバックアップという位置付と、特にアイスクライミングではフォロワーがアックスを打ち込む際のロープ切断事故のバックアップにもなります。
私は最後にロープを回収しなければならない懸垂下降の時のように、一本のロープを半分に折り返して二重にして使用するのがダブルロープ、違う二本のロープを同時に使用するのがツインロープと思っていたのですが、色々な資料を探しても問題を解決してくれるような記述が見当たらないまま時間ばかりが過ぎてしまいました。写真を見ても、動画を見てもツインロープで(二本同時に)クイックドローを通している画像がなく疑問は深まるばかりでしたが、ご返事いただきましたご回答で漸く疑問が吹っ切れたような気がしております。
インターネットでダウンロードした登山教室の教本、登山歴40年の私にも初めて気付かさせられるような有益なことが多く、復習資料として使用させていただいております。
登山の総合スキルを体系的に学びたい方必見!
当サイト「GoALP – 山を楽しむ人のための安心・安全登山メディア」の監修者でもあり、登山を教えることのできる者が集まった非営利集団で、山岳事故を減らすための啓発活動をしている日本登山インストラクターズ協会(2013年創立・岩崎元郎代表)が、来春より開催する6期目「JMIA登山講習会」の受講者を募集しています。あなたも、一年かけて実際に山に登りながら山岳指導者の手ほどきをうけてみませんか?
コメント
Comments are closed.