登山の”下り”の苦手意識を克服するためには? – 山の相談小屋

相談者:S.A (女性/30代)
先日、栂池高原~白馬岳(1泊)~猿倉というルートを歩いてきたのですが、白馬岳~猿倉の下りコースで足が滑ったりと不安定な歩き方になってしまい、コースタイムを大幅にオーバーして下山することになりました。(帰りのバスに間に合いませんでした・・・)

 

登山の特に下りが苦手で、ザレていたりガレ場の下りとなると、相当慎重になって気も使ってしまい、心身ともに疲労が残ります。(白馬から帰ってきた翌日は、人生最大の筋肉痛に見舞われました…!)

自身の筋力やスキル不足があると思うのですが、どのようなことに気を付けて下ったらよいでしょうか。また下りが楽になるトレーニングなどがあれば教えていただきたいです。

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JMIA認定インストラクター
岩崎 元郎
不用意な足運びは、滑ったり転んだり、即ち、転倒滑落を招来します。

 

登りでは路面をま近に視認できるので、さほど問題は起こりませんが、目線が遠くなる下りでは、「滑りそうで怖い」などという不安が芽生え、苦手意識が発生します。

山登りのための最良のトレーニングは、山に登ることだといいます。下りの苦手意識を克服する方法も同様、山での下りを数多く体験することです。

滑り易い斜面に立っているとします。滑り易い斜面ではありますが、体重が鉛直方向にかかっている限り滑ることはなく、立っていられます。

この斜面を下るべく片足を一歩踏み下ろします。このとき動作に勢いがついていて、無造作にカカトから着地なんてことであると、バランスを崩し、滑って転んでしまいます。

体重が鉛直方向にかかっていれば滑ることのない斜面であれば、体重移動に注意を払って足を踏み下ろしていけば、滑ることはないはずなのです。

後足に残っていた体重を前足に、体重が鉛直方向にかかるように移動してやればよいのです。

後足から前足への体重移動は、動的ではいけません。静移動であること。そしてスムーズな体重移動には、踏み下ろす一歩の歩幅は、小さい方が良いのです。

歩幅を小さく踏み下ろし、踏み下ろした足のひざから下を一脚にイメージ、その脚に体重を静移動、この繰り返し。

実際の山でこのような下りの足運びを一回でも多く経験していけば、気がつけば下りの苦手意識は克服できているはずです。

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