インサレーションの使い分け方 – 山の相談小屋

アクティビティ:一般登山, カテゴリ:ウェアと装備
相談者:匿名 (男性/30代)
夏場以外の山行での、フリースとダウンと化繊の使い分けが知りたいです。
今頃の2500~級で、フリースの上に化繊インシュレーションとかは理に適ってるんでしょうか?

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JMIA認定インストラクター
栗山 祐哉
Kuri Adventures 代表の栗山です。

レイヤリングは一般的に ベースレイヤー → ミドルレイヤー → アウターシェル を基本に構成します。
行動時は ベースレイヤー + ミドルレイヤー で行動し、風が強い時、雨が降ってきた時、寒い時にアウターシェルを着用します。
ダウンジャケットや化繊インシュレーションジャケット等の防寒着は、食事や休憩、ビレイ中など、停滞時間がある場合に着用する衣服となります。基本的に行動時に着ることはありません。

4月中旬以降になると、森林限界を超えた山域でも気温はかなり上がります。
フリースの上に防寒着を着ての行動はほぼ不可能ですし、私ならミドルレイヤーにフリースも暑いと感じます。
恐らく薄手のアンダーウェアに薄手のソフトシェルを組み合わせ、寒ければその上に薄手のハードシェルを組み合わせます。ボトムはアンダーウェアの上に直接ハードシェルパンツを履き、常時その装備で行動します。
暑い寒いは個人差がありますし、一概にこれが正解と言い切れるものではありませんが、概ね快適な組み合わせになると思います。

ダウンと化繊中綿のそれぞれの特徴ですが、ダウンはとても復元率が高く、少量でとても大きなエアボリュームを出せます。この結果、収納時はコンパクトになる上、着用時は膨らんでデッドエアスペースを大きく保ってくれます。
化繊中綿のジャケットと同じ重量ならば、ダウンジャケットの方が圧倒的に小さくなり、また保温力も圧倒的に大きくなります。
一方で化繊中綿には ” 水に濡れてもほとんど保温力が変わらない ” と言う大きな特徴を備えています。
ダウンは水に濡れると一気に萎んでしまい、保温力はほぼ完全に無くなります。また乾きも遅く、一度濡らしてしまうと鵜山の中で完全に乾かすことは困難です。
化繊中綿であれば、しっかり水を絞れば保温力はその瞬間に回復します。重量的には不利ですが、安心感は大きいです。

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アークテリクス アトムLTフーディ 圧倒的な機能性と保温性を実現したフードタイプのジャケット


例えば春から秋にかけての雨が多いシーズンでは、化繊インシュレーションジャケットの利点が輝きます。
雨や汗、結露などで濡れやすい時期ですが、化繊中綿であればあまり問題になりません。
温暖な時期であれば、現実的な重量で持ち運びもそこまで苦になりません。

個人的には夏期に化繊インシュレーションジャケットを使い、冬期にダウンジャケットを使用しています。
どちらも500g~600g程度のジャケット重量を目安にしてます。収納サイズも凡そ同じくらいの大きさになります。
とても快適な組み合わせだと感じています。

また最近では薄手の化繊インシュレーションジャケット(重量200g~300g台)のものが出ており、厳冬期の中間着に選択する場合があります。
森林限界を超えた風の強い場所やアイスクライミングなどビレイを伴う山行では、着たまま行動できるのでとても便利です。また夏の低山における防寒着としてもちょうど良い選択になります。
使い方としてはほとんどフリースと同じ立ち位置になりますが、もっとずっとコンパクトになります。
この手の化繊インシュレーションジャケットを防寒着の替わりに持っていくのは装備不十分です。注意しましょう!

パタゴニア ナノパフジャケット

パタゴニア Nano Puff Jacket 337g 防風性と耐水性を備えた温かいジャケット。


レイヤリングはいろいろと失敗を重ねながら自分なりのベストを探る他無いのですが、これがひとつの指針として参考になれば幸いです^_^
解決相談者:匿名さん
とても丁寧な回答ありがとうございました。
大変参考になりました!

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