残雪期の装備について – 山の相談小屋

アクティビティ:雪山登山, カテゴリ:ウェアと装備
相談者:いとうさぎ (女性/40代)
九州の山岳会に所属しております。パーティー5名でゴールデンウィークに唐松岳~五竜岳の縦走計画が出ております。装備などについて、今後打ち合わせで確認して行く予定です。雪山の初心者がいるのですが、その具体的な装備についてお尋ねです。万一、購入や貸し借りの対応が間に合わない場合は、アイゼンは軽アイゼンで縦走は可能なのでしょうか?その他、ビーコンは、各自は、持って行くことが必須でしょうか?山のサイトなどの記録を検索してみますと、ビーコンは持参していなかったり、アイゼンは軽アイゼンだったり、軽装備で登っておられる方もいらっしゃるようです。ゴールデンウィークの雪山は、天候が急変すれば冬山へとなることも存じております。万一の場合は、山域の変更も検討しています。装備について、まずはご回答をよろしくお願いします。

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JMIA認定インストラクター
松本 善行
松本です。

残雪期の高山帯において、現登山界の常識として、

・本アイゼン(10本爪以上)、
・雪崩ビーコン、

は、経験者・初心者に関わらず必携です。
10本爪以上のアイゼンに関しては、積雪期(初冬期~残雪期)高山帯の森林限界上において、その登山形式が縦走スタイルである限り、メイン使用アイテムとなり得るからです。例えそれが使用するに及ばない積雪状況だとしてもです。
一方、8本爪以下の軽アイゼンは、無積雪期の雪渓横断や、初冬期や残雪期における森林限界内の凍結箇所などで一時的に使用する目的のものです。構造上の大きな相違は、本アイゼンにおいて、前爪(ツァッケ)の存在です。これは傾斜に対して絶大な効果があり、それがない軽アイゼンは、凍結した急傾斜では容易にスリップしたりします。

GRIVEL G12 New Matic

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また、雪崩ビーコンは、上記積雪期において、まとまった雪の存在と傾斜がある、いわゆる「雪崩地形」を成しているエリア(高山域は当然入ります)では、今や所持することは義務と言っても過言ではありません。他のご質問でも回答していますが、雪崩の専門知識については、別途学ばれるとよいでしょう。
MAMMUT(マムート) アバランチビーコン

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更に、雪崩ビーコンと合わせ、スコップ・プローブは、雪崩捜索における「三種の神器」などと言われたりしますが、万が一の雪崩事故の際の捜索グッズとなりますので、個人装備の雪崩3点セットとしても定着しつつあります。
しかしながら、初心者を含めたメンバー全員にこの3点を所持させるのには少々考えさせられるものがあります。雪崩ビーコンは全員必携でも、外2点については、リーダークラスのメンバーのみ所持でもよいかもしれません。ただ、この2点を持った者全員が不幸にも埋もれてしまった場合は、どうにもならないことは理解しておく必要があります。
解決相談者:いとうさぎさん
松本様
分かりやすいご回答をありがとうございます!今さらながらで恐縮ですが、本アイゼン前爪の重要性について改めて理解が深まりました。
雪崩ビーコンについても、今後も各自所持していくよう繰り返し、伝達していきたいと考えております。
「三種の神器」のスコップやブローブについては、共同装備として各自で分担していく計画といたします。
ありがとうございました。

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当サイト「GoALP – 山を楽しむ人のための安心・安全登山メディア」の監修者でもあり、登山を教えることのできる者が集まった非営利集団で、山岳事故を減らすための啓発活動をしている日本登山インストラクターズ協会(2013年創立・岩崎元郎代表)が、来春より開催する3期目「JMIA登山講習会」の受講者を募集しています。あなたも、一年かけて実際に山に登りながら山岳指導者の手ほどきをうけてみませんか?

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