アバランチビーコンとヒトココの安全管理について(2) – 山の相談小屋

アクティビティ:雪山登山, カテゴリ:遭難・トラブル防止
相談者:いとうさぎ (女性/40代)
ゴールデンウイークの北アルプス唐松~五竜岳の5名パーティーでの縦走計画について、昨日ご相談させて頂きました。ビーコンは各自必携だと回答も頂きました。仮に、(初心者が)ビーコンの購入や調達が間に合わず、ヒトココで代用して、万一滑落した場合、装備として問題ないと考えてよいでしょうか?ビーコンとは、目的も少し違ってくるようです。リーダーと参加者本人が合意をすれば、解決することでしょうか?このままですと、チームとしての組織の機能もうまくいかないような気がします。

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JMIA認定インストラクター
松本 善行
松本です。

ヒトココについて、当方が所属しております、日山協の遭難対策委員会にて、3年ほど前に開発会社の依頼を受けて、ヘリを使った検証を行っています。

ヒトココ

ヒトココ (ココヘリ会員証)

結果は、見通し距離でおよそ3km、森林内でおよそ400m離れた地点で最初の電波を捉えています。周波数が925KHzとビーコンの2倍近くですので当然ではありますが、問題はピンポイント(ここでは2m以内と定義しておきます)の雪の埋没者の捜索で、ビーコンほどの性能が確認できなかったとのことでありました。

そこで、ヒトココの実用性についていろいろ話し合いを行った結果、いとうさぎ様が仰っている通り、認知症患者の捜索や、学校(大所帯)登山での生徒各人の管理など、目的が違う分野での有効性が明らかになってきました。

一方、雪崩ビーコンは、毎年のように機能がアップし、特にピンポイントでの捜索では、電波特性など格別捜索過程を知らずとも、初心者でも扱いが容易になってきました。

つまりは、得意な機能はそれぞれ持ち合わせていますが、広大なエリアからピンポイントまでを特定する包括的な機能は、お互いまだ開発途上であると言える思います。

従って、現時点での使用目的が雪の埋没者の捜索であるなら、ビーコンをおすすめすることになりますが、リーダーとメンバー間で合意の元、ヒトココを選んだ場合、万が一、重大な事態になった際、責任を問われるのはリーダーであることは心得ておく必要があります。

勿論、それがビーコンでも同じことが言えますから、リーダーは常に危機管理について、最大限の配慮をしなければなりません。

BCA トラッカー3

BCA トラッカー3 入手可能なマルチアンテナ・ビーコンの中でももっとも薄型のモデルとなっています。

解決相談者:いとうさぎさん
松本様 貴重なご意見をありがとうございます。当所属会員でこのような検証もしておりませんし、知識としても皆無だと思います。また、仰られます通り、万一重大事故に繋がった場合、リーダー他メンバーの危機管理について、指導の在り方も問われる事と考えております。ご回答いただきました内容を、自分のものとして安全登山についての知識を幅広く深く考えていきたいと思います。ありがとうございました!

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