やってみませんか?雪山の魅力と入門(1)- 登山の教科書

雪山は危険、上級者だけの限られた世界というイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。雪山には入らないと決めつけている人がいて、そういった人たちの多くは冬になると登山をしません。

これはなんともったいないことでしょう。雪山の静寂さ、幽玄さ、美しさを知らないままでいるのです!

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しかも、“登山の体力作りは登山に限る”と言われるように数ヶ月やらないと明らかに体力が落ちてしまいます。
春になって辛い思いをしたくないなら、低山でも良いから冬でも登山を続けましょう。

冬の低山歩きで困るのは、雪の無い山を選んだのに日陰のところに雪が残っていたり、道が凍っていたり、突然天候が変わって雪が降ってきたりすることです。

こんな時雪山の装備や初歩的技術があれば、さほど苦労しないで対処出来ます。
そして、装備を買うと積極的に雪山に入って使わなければ勿体無いし、技術を覚えると面白くなって上達しようということになります。

雪山のススメ

冬になると山々は真っ白に雪化粧し、青い空の下は白一色の幽玄の世界になります。
小鳥の声を聴きながら樹氷の下を歩けば、街での生活を忘れてしまいます。
そして春が近づき、雪が落ちついて歩き易くなる季節は1年を通じて山のフィールドを最も広く使える時期になります。

夏は藪で埋まって通れない所も、この時期なら快適に歩けるのです。
恐る恐るでも良いから、雪山入門の仲間入りをしよう。

覚悟を決めて(!?)装備を揃え、安心できる経験者について勉強していきましょう!

1、雪山を正しく知ろう

“雪山なんて簡単よ。素晴らしいからあなた達も行ってらっしゃいよ”
夏の山小屋でオバサンが若者にけしかけていました。
好意で誘っているのは分かりますが、このオバサンは雪山の一面しか知りません。

冬は寒いというイメージが強いですが、無風快晴の雪山は暑いくらいで、荷物を背負って歩くと半袖Tシャツでも汗が噴き出てきます。
ところがひとたび荒れると氷点下の気温になり、強風にさらされて体感温度はマイナス何十度という世界に突入します。
この大きな落差にどう対処するかが雪山登山なのです。

雪山で遭難して救助された人が、“思い掛けなく天候が急変したのが原因で、自分は天気予報を信じて正しく行動した”とコメントしていたがこの人も雪山を知らないと思います。
思い掛けなく、激しく急変する天候は雪山の常識だから、それを承知の上で出かけていくのが雪山登山なのです。

一方、雪山と言えば直ぐ遭難と短絡するのは早計過ぎます。
正しい知識と技術を身に付けて臨めば雪山は危険ではありません。
初心者のうちは安心なルートを選び、天候が読めて中止が決断できる経験者と一緒に行動すれば良いのです。

冬山が他と違う点を考えてみると以下の点が挙げられます。

  1. 天候が急変する
  2. 好天と悪天の落差が大きい
  3. 荒れた天気の日が多い
  4. 寒さが極端に厳しい
  5. 視界が無い時は方向を読むのが難しい
  6. 視界があっても雪が登山道を隠すのでルートファイディングが難しい
  7. 雪崩の危険がある
  8. ピッケル・アイゼンを駆使した技術が必要になる
  9. 背負う荷物が重い
  10. 道路が雪に埋まるので車が入れない。
  11. 休業する山小屋が多い。

2、雪山にもいろいろあることを知っておこう

(1)標高や地域による違い

低山の里山でも立派な雪山に変わることがあります。ルートファイディングが難しくなりラッセルしないと進めなくなりますが、引き返すなりエスケイプルートを降りるなりすれば対応できます。
しかし、軽アイゼン等の初歩的技術は必要なので練習しておこう。
一方、標高の高い山や豪雪地帯の山は胸までのラッセルを覚悟して登らねばならず、ピッケル・アイゼンその他の雪山技術をマスターした者でなければ入れません。

(2)季節による違い

初冬期・厳冬期・残雪期に分けて考えられます。
時期により雪山は様々な表情をみせ、対応する技術も少しずつ違います。
雪質・雪量・気象が異なり、ラッセルの考え方や雪崩の読み方が違ってきます。

(3)行動日数による違い

冬は開いていない山小屋が多いから、長期縦走だとテント泊になります。
荷物が重いのと必要な技術が増えるので初心者には難しいです。

(4)コースによる違い

エスケープルートのあるコースや山小屋利用なら、何か異変があった時逃げられるから安心です。
正月の甲斐駒ケ岳を例にとると北沢峠からの往復なら山小屋があるのでよいですが、黒戸尾根から登るのは上達してからにしよう。

(5)天候による違い

無風快晴と吹雪豪雪では大違いです。

(6)取り組み方の違い

スノートレッキングと本格的な雪山登山では大きく違います。

そこで次回は、軽アイゼンとストックで登れるスノートレッキングと、アイゼン・ピッケルを要する雪山登山について基礎的なHow-Toを解説したいと思います。

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