山での宿泊は山小屋に泊まるだけでなく、自らテントを設営して宿泊する方法があります。
山小屋泊にくらべテント泊では、宿泊費がかからない・仲間内だけのプライベート空間が保てる・アウトドア感を満喫できるなどの醍醐味がありますが、一方で荷物がかさばったり、設営や撤収などの手間も増えます。
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また、登山が上達し縦走登山で山に入るような場合で、日本アルプスの人気部分を除くと山小屋が都合よく並んでいることは稀なので、そのような場合は無人小屋かテントが必然的に宿泊の手段になってきます。
そこで、本稿では2回にわたってテント泊における基本的な知識を解説することで、みなさんが快適にテント泊での登山を実施できる一助となれば幸いです。
テント泊は指定地で!
緊急の場合を除いて、テントはどこに張っても良いのものではありません。
キャンプ指定地というものがあって、日本の場合、基本的に国立公園内は指定地外の幕営は禁止です。
指定地は大小さまざまで、100張り以上の所もあれば10張り前後の所もあります。
繁忙期にはすぐ埋まってしまうから、遅く到着すると条件の悪い所しか残っていないことが多いです。
初心者おすすめのテント場12選
大規模キャンプ指定地のベスト 12 は次の通りで、いずれも水場やトイレ等の設備が整っている上に、山小屋が近くにあるから安心です。
自分のテントが分からなくなって迷う心配はあるが、地の利が良く、重い荷物を背負って長時間歩く必要がないから初心者には有難いと思います。
まず、こういう定着型のキャンプでテント生活を体験し、そのあとで縦走登山に挑戦しましょう。
1. 北アルプス涸沢(500 張)
2. 北アルプス上高地(400 張)
3. 八ヶ岳赤岳鉱泉(300 張)
4. 北アルプス雷鳥沢(300 張)
5. 中央アルプス敬神ノ滝(300 張)
6. 北アルプス剣沢(300 張)
7. 奥秩父廻目平(200 張)
8. 北アルプス雲ノ平(200 張)
9. 北アルプス徳沢(200 張)
10. 八ヶ岳行者小屋(200 張)
11. 北アルプス三俣蓮華岳(200 張)
12. 九重坊ガツル(200 張)
テント泊のデメリット
テント泊はメリットばかりではありません。以下のデメリットがある点も理解しましょう。
① 高価:数万円するので何回か使わなければ元がとれません。
② メンテナンスが必要:汚れを取り、塩分を洗い、乾燥させてから保管する必要があります。
③ 重い:昔より軽くなりましたが、本体・フライ・ポ-ルを合わせるとかなり重いです。
④ 面倒:設営と撤収が面倒で、風雨が強い時や寒い時は悲惨な思いをします。
⑤ 狭い:天井が低くスペ-スも狭いので窮屈な思いをします。
⑥ 設営地を誤ると危険:増水・落石・雪崩に遭遇する危険があります。
⑦ 使い方を誤ると危険:テントの布地に通気性はあるが、結露すると駄目だから換気口を開けておく必要があります。これを怠ってガスを燃やすと二酸化炭素中毒の恐れがあります。また、ガスボンベを倒すと火事になります。
(参考)無人小屋について
山小屋以外の宿泊方法として、無人小屋を利用する方法があります。
無人小屋と言っているのはほとんどが避難小屋のことです。
地図には無人小屋と書いてなくて避難小屋と書いてあります。
人気ル-トの登山道には山小屋があるけれど、滅多に人が来ない辺鄙な登山道では経営できないから山小屋を作る人はいません。しかし、そういう所でトラブルがあったら困るから自治体が作った救助用の小屋が避難小屋で、管理人の駐在はありません。
避難小屋は緊急避難用の公共の小屋であって、登山者が山小屋代わりに使うのは本来の使い方ではありません。
従って、使わせて頂くという謙虚な気持ちでマナ-を守って泊まらなければなりません。
無人小屋のデメリット
① 丁度良い場所にない:一泊だけなら小屋に合わせて計画すれば良いが、何泊かの縦走を無人小屋だけで計画するのは無理があります
② 混雑すると入れない心配がある:5 人~20 人が入れる規模なので、何パ-ティ-か先客がいると一杯になってしまいます。
③気兼ねする:テントのように自分達だけの世界になりません
④眠れないかも知れない:遅く入って来る人や早く出る人、等さまざまで、中には騒ぐグル-プがいるかも知れません。
テント泊では役割分担をしよう
事前準備・運搬・現地の作業の全体に渡って役割分担すると良く、全員に参加している意識が芽生えて責任感が出てきます。
(1)事前準備
- 気象・テント場・コ-ス等の情報収集係
- 装備・燃料を手配してチェックする係
- 食事メニュ-を考えて食材の買出しをする係
- 交通アクセスを調査して乗車券購入やタクシ-予約をする係
等に分担しましょう。
(2)運搬
体力を考慮して過大な負担にならないようにします。食料のように、日毎に減っていく物があるからバランスを考えよう。
(3)現地の作業
テント設営・撤収・整地・無人小屋の掃除・水汲み・炊事、等を分担しましょう。
最後に
いかがでしたか。テント泊はあなたの登山の幅をひろげ、アウトドアをより満喫することができるようになります。ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
次回は、テント泊に必要な装備や設営時のポイントなど快適なテント泊のためのイロハを解説いたします。
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