知らないと訴えられる!?登山事故の応急処置と注意点 – 登山の教科書

万が一、登山中に事故が発生して仲間がケガを負い動けなくなってしまったら、あなたはどうするでしょうか。なんの予備知識もないと、その場で右往左往して何もできずに事態はより悪化するかもしれません。

また、下手な予備知識では結果的に何もしないほうがマシだったり、最悪のケースとして下山後に責任を問われる場合もあります。

登山は、事故を起こさないよう様々な対策や準備をして臨むのが第一ですが、万が一に備えて適切な知識を持っておくことは、仲間のためにもさらには自分の身を守るためにもとても重要になってきます。

本稿では、そのような山での事故の応急処置について、基本的な注意点について説明したいと思います。

もちろん、万が一の際は人名最優先です。そのような場合のケース別応急処置法については、仲間を守る!登山で絶対知っておくべきケース別のトラブル応急処置 を参照ください

基本的な留意点

自信のないことはやらない!

応急手当は難しく、下手をすると何もしない方が良かったということにもなりかねません。
誤処置はその後の治療の妨げとなり、治療を長引かせ、時には生命に関わることもあります。
医師でない我々は自信のある事しかやってはいけません。

疑問が残る応急手当例

  1. 冷たい末端の血液が戻ってショック死するので、冷えた人の手足を揉んだり擦ったりしてはいけません。冬だけでなく夏山でも低体温症が原因の死亡事故が起きています。
  2.  出血しているのに心臓マッサージをすると、血がたくさん出てしまいます。
  3.  日射病の人にはいきなり水をかけるなどして急速に冷やさない方が良い。
  4. 意識が朦朧としている人に水を飲ますと、窒息や嘔吐を引き起す場合があります。
  5. 出血の時、傷口より心臓側を縛るのは要注意です。縛った先の細胞が死んでしまいます。
  6. ガラスや棒が刺さったからといって不注意に抜かないことです。抜く時一部が体内に残ったり、血管を傷つけたりする恐れがあります。
  7. 打撲・捻挫・脱臼と思って安易な処置をしないようにしてください。骨折と合併していると悪化させてしまうことがあります。
  8. 開放性の骨折に水をかけて洗ったりしてはなりません。
  9. 首の変形や腫れがあったら顔を動かさないようにしてください。
  10. 傷口に不潔な手を触れたり、汚いシートを掛けたりすると感染症を引き起こすので注意してください。
  11. 脳卒中の人を動かしてはいけません。

後から責任追及されないために!

一方、正しい処置をしたはずなのに後から誤処置として責任追及されることがあります。
大出血で直接圧迫では止まらなかったから膝下を強く縛って、おかげで命が助かったけれど後遺症で膝下が麻痺した場合はその一例です。

免許の無い人が医療行為をしたのですから、損害賠償で訴えられたら負けます。
裁判では善意という言葉は気休めにしかならないから、医師でない者が医療行為をする時は法廷での裁きに備えておかなければなりません。

傷病者は仲間だから訴えなくても、その親戚縁者から訴訟されたら負けることを知って欲しいと思います。

“頼まれた事をやっただけで私は医療行為をしていません”と言い張る以外に方法が無いので、何かする場合には、一つ一つ本人から頼まれてやったと言う形にしなくてはなりません。
今の時代は善意の救助者に不利益が生じない為の注意が必要です。

一方、負傷者の方は周りが何とかしてくれるという甘えで、ただ黙っていたのでは何も進みません。(意識不明の時は暗黙の同意という事になります。)

判断が難しい次の場面でも、リーダーは以下のように何らかの答を出さなくてはなりません。

  1. 山小屋で頭痛がして食欲が無かったら極度の疲労か高度障害だから、食べられる物を食べて寝てもらい、翌朝も具合が悪かったら下山を検討します
  2. 暑さで頭がボーとして気分が悪くなったら熱中症の処置をする
  3. 通常以上に寒く感じ、無気力になったら低体温症の処置をする

最後に

いかがでしたか?

あまり考えたくはないですが、よかれと思ってやったことでも後から問題になる場合があることをよく認識したうえで、万が一の場合には落ち着いて適切な行動をとれるよう心がけたいものですね。

だからといって何もしないわけにはいきません。事故後の具体的な応急処置に関して、次回はケース別の対処例でお伝えしたいと思います。Facebookでいいねしていただければ、更新をお知らせいたします。

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