ツインロープとダブルロープ – 山の相談小屋

アクティビティ:クライミング, カテゴリ:ウェアと装備
相談者:M.U (男性/50代)
ツインロープとダブルロープの違いが良く解りません。

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JMIA認定インストラクター
松本 善行
こんにちは。松本です。

ロープ2本を使用する点で共通していても、その仕様は大きく異なります。大きな違いはルートコンディションによって使い分ける点です。各仕様は、国際山岳連盟(UIAA)におけるスタンダードフォールテストによってその基準が明確に異なっています。数値に関してはご質問から少し離れますのでここでは割愛します。
また、「ダブルロープ」は正確にはシステムの名称であって、ロープそのものの名称は「ハーフロープ」です。

ダブルロープシステムにおけるハーフロープの使い方:リードが中間支点を取る際、ルートの屈曲に対して、ロープドラッグ(摩擦でロープが動かなくなること)を少なくするために、2本あるロープのうち1本をクイックドローのカラビナにかけてゆくもの(交互とは限りません)。

ツインロープの使い方:リードが中間支点を取る際、シングルロープと同様の扱いで、クイックドローのカラビナに2本ともかけてゆくもの。

上記を踏まえると、ハーフロープはジグザグと屈曲するルートに向いている。日本のアルパインルートには特に向いています。理由は確保理論に触れざるをえないのですが、墜落の際、ロープドラッグによる衝撃がクライマーや最終ランナーに与える影響を考慮する必要があるからです。
一方、ツインロープは、ロープドラッグの少ないヨセミテなどの海外の岩場や、アイスフォールなどの直線的なラインを持ったルートに適しているといえます。

ご質問の内容とは少し離れますが、シングルロープに対しての比較は、ハーフ・ツインともにロープの伸び率を高くするためにロープ径を細くし、そのための強度低下を補うために2本仕様という点に注目していただきたいと思います(伸び率が高くなると、クライマー・ビレイヤー・プロテクション(支点)にかかる衝撃値が軽減されます)。更には、1本よりは2本あれば、万が一の時のバックアップという位置付と、特にアイスクライミングではフォロワーがアックスを打ち込む際のロープ切断事故のバックアップにもなります。

解決相談者:M.Uさん
ご多忙な最中、何気ない私の些細な質問にもご丁寧に対応頂きましてありがとうございました。

私は最後にロープを回収しなければならない懸垂下降の時のように、一本のロープを半分に折り返して二重にして使用するのがダブルロープ、違う二本のロープを同時に使用するのがツインロープと思っていたのですが、色々な資料を探しても問題を解決してくれるような記述が見当たらないまま時間ばかりが過ぎてしまいました。写真を見ても、動画を見てもツインロープで(二本同時に)クイックドローを通している画像がなく疑問は深まるばかりでしたが、ご返事いただきましたご回答で漸く疑問が吹っ切れたような気がしております。

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