フリークライミングとアルパインクライミングの違い – 山の相談小屋

アクティビティ:クライミング, カテゴリ:全般的なこと
相談者:masaya (男性/30代)
いつも拝見しています。

私はロッククライミングに興味があり自分なりに調べ始めているのですが、クライミングにはその目的(?)によりフリーとアルパインに大別されることを知りました。それぞれの違いをきちんと知りたいのと、自分が始めるにあたってどっちを目指すべきなのかわからないので、そのためのアドバイスがあれば教えていただけないでしょうか。また、必要な道具やスキルも違ってくるものなのでしょうか。

とりとめのない質問ですみませんが、教えていただけますと幸いです。

「いいね!」すると登山に関する情報を受け取れます↓

JMIA認定インストラクター
栗山 祐哉
Kuri Adventures 代表の栗山です。

フリークライミングとは ” 前進の為に自分の肉体以外使わない ” クライミングを言います。一方でアブミなどの道具を駆使して登るクライミングを 人工登攀 = エイドクライミング と言います。
このエイドクライミングに対するものとして考えられたのがフリークライミングなので、例えばアイスクライミングのように道具を使うクライミングでも、アブミを使ったりアックステンションをしたりしないのであれば、それはフリークライミングの一種とも言えます。
フリークライミングかエイドクライミングかは登り方の手法の名前であり、クライミングの分類名ではありません。

クライミングの分類としては、大きく分けるのであればアルパインクライミングとスポーツクライミングになります。
例えばクライミングジムや1ピッチのルートで構成されたクライミングゲレンデでより高難度なクライミングを追求するのがスポーツクライミング、とても難易度の高いルートから登る登山がアルパインクライミングと呼ばれます。
スポーツクライミングは人工的に整備された安全な環境で行う、墜落を前提としたクライミング。より難しい課題に、十分な安全環境を整えた上で挑戦するまさにスポーツです。
一方でアルパインクライミングはまさに登山。登山道の無い自然のままの地形を進み、岩を登り、滝を登り、氷を登るカテゴリーとなります。

単純な登攀の技術難易度で言えばスポーツクライミングの方がフィジカルやテクニック的に高難度となりますが、アルパインクライミングを行うには安全管理のための様々な技術を習得しなくてはならない学術的な難易度が高まります。

お金をかけずに、最低限でスタートできるのはスポーツクライミングです。
動きやすい服をもってご近所のクライミングジムにでかければ、今日からすぐにボルダリングを始めることができます。(ボルダリングとは高さ4m程度の岩を、ロープなどの確保無しに登るカテゴリーで、スポーツクライミングの分類のひとつです。)
ただもし登山が好きでクライミングに興味を持たれた場合、登山とはかけ離れた遊びとなってしまいます。
アルパインクライミングを始めるには、それこそ様々な技術や知識を得なくてはならず、また経験豊富な方について実際の現場での経験を積み重ねる必要があります。道具も膨大に必要です。
しかし登山が好きな場合、アルパインクライミングを始めることでその人生は確実に豊かなものになるでしょう。

仮にアルパインクライミングを始めるにしても、スポーツクライミングにおける最低限の登攀力と確保技術が必要です。スポーツクライミング分野における基礎技術をしっかりと学習しながら、同時によりハードな登山で体力を鍛える。この両面を続けて行くことがアルパインクライミングの世界に繋がるものだとも思います。
まずはスポーツクライミングから始めてみては如何でしょうか?

Kuri Adventures ではアルパインクライミングを楽しむための登山技術教室を運営しております。
学術的な技術習得と、基礎的な経験を得て頂くカリキュラムをご用意しておりますので是非ご活用下さい。

また川崎駅徒歩10分のところに弊社のクライミングジムも御座います。
こちらでも様々な技術講習を行なっておりますので、ご都合の良い方をご選択下さい。

クライミングを始めることで、その人生は確実に豊かなものとなります。
是非始めてみて下さい^_^

JMIA認定インストラクター
松本 善行
栗山さん回答の補足になります。

ご質問の一部、フリークライミングとアルパインクライミングの違いについては、各人のポリシーが強く影響し、フリークライマー、アルパインクライマー共に、自身のクライミングスタイルについて、熱く語ることが多いシビアな課題でもあります。ともあれ、誰もが間違いないと認めるであろうところは、

フリークライミングに関しては、己の身体能力・技術を駆使して、登る行為そのものの難しさを追求するもの。言い換えれば落ちるまで、グレードを追求するものです。それには平等なルールが必要なので、別の呼び名で「スポーツクライミング」と同義で言われたりします。

一方、アルパインクライミングに関しては、自然壁において一定距離のルートを、自然条件の中、巧みな手法によって攻略する、というものです。ですからそこには、よく「弱点をつく」という言い方をしますが、登りやすいラインを選んだり、場合によっては道具の補助で登ったりします。また、劣化して信用できないハーケンやボルトを強く刺激しないよう、基本的にはリード者は絶対落ちてはいけないというのが、アルパインクライミングでは暗黙のルールとなっています。一言でいえば、冒険的クライミングですね。

解決相談者:masayaさん
栗山さん 松本さん

とてもわかりやすい解説ありがとうございました。
それぞれの違い、ポリシーやスタイルなど精神性に通じているのですね。自分は通常の山登りからクライミングに興味を持ち始めたので、目指すスタイルはアルパインなのかもしれませんが、スポーツクライミングから始めてみようと思います!

↓↓ あなたも気になることがあれば、気軽に聞いてみましょう! ↓↓

インストラクターに相談する(無料)

 

登山の総合スキルを体系的に学びたい方必見!

当サイト「GoALP – 山を楽しむ人のための安心・安全登山メディア」の監修者でもあり、登山を教えることのできる者が集まった非営利集団で、山岳事故を減らすための啓発活動をしている日本登山インストラクターズ協会(2013年創立・岩崎元郎代表)が、来春より開催する6期目「JMIA登山講習会」の受講者を募集しています。あなたも、一年かけて実際に山に登りながら山岳指導者の手ほどきをうけてみませんか?

沢、岩、雪山などの山仲間を作りたい方

四季を問わず縦走・岩登り・沢登りを始め、読図にこだわった藪山や雪山縦走、あるいはトレイルラン・アイスクライミング・山スキーに至るまで様々な趣向をもった山の仲間と、登山の基本技術項目15単位を入会者ご自身のペースで、およそ3年以内をめどに受講いただける登山講習です。

電子書籍:初級中級・登山の教科書を進呈

安全な登山のためには、総合登山力が必要になりますが、ネットや雑誌などで知る単発的、断片的な知識だけでは安全な登山のためには十分とはいえません。本書は、JMIA登山インストラクターの水上宏一郎・著、岩崎元郎・監修による、主に登山入門から5年目くらいまでの初級者・中級者に焦点を絞り、安全に登山を行う上で必須の知識を体系的にまとめたものです。

  • そういえば登山に関する知識ってきちんと学んだことない
  • 断片的に知ってはいるけど、全体的には知らないことが多い
  • 登山で怖い思いをしたが、どうすればよいかわからない

などに該当する方は必見の一冊となります


電子書籍(PDF)をダウンロード

SNSでもご購読できます。

キーワードで記事を検索

コメント

Comments are closed.