もし道迷いで遭難した場合、変な表現で恐縮ですが、正しい遭難の仕方というのはあるのでしょうか。
なるべく救助されやすい遭難のしかたという意味です。
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後藤 真一
1.焦らず落ち着いて状況を伝える
例)
・「水量は少ないが沢の中で、すぐ上流に5mくらいの滝がある」
・「沢は南に向かって流れている」
・「植林帯の尾根の途中で平ら(または急)なところにいる」
・「右下の方に沢の音が聞こえる」
・「日の沈む(方角がわかれば具体的に)斜面側の中腹にいる」
・「3時間前に○○山(最後に現在位置がわかっている所)を△△に向かって下りた」
・「左斜め下に町灯り(特定できる顕著な物があれば尚良い)が見える」(だいたいの距離や高度差がわかれば尚良い)
etc
以上の場所状況説明は遭難者から説明するばかりでなく、連絡を受けた人こそ、まずは遭難者を落ち着かせ、聞き出すようにしてあげてください。連絡中に電波が切れることもありがちなので、簡潔に。もちろんGPSやアプリが使えれば緯度経度や他の情報を伝えやすくなるかもしれません。
電話が繋がらなくてもメールやSNSが繋がることは案外あります。
これらの情報は我々捜索する側としても、場所を特定するために貴重な情報源となります。
2.その場にとどまる
まず自分の身体を保温することに努めてください。こういう不測の事態は起こり得るものなので、ツエルト(簡易テント)またはアルミ製のビバークシート1枚、レインウエア(レインウエアは何も雨避けの役割だけでなく 防寒着としてある程度機能するので、どんなに晴予報であろうが、ハイキングであろうが必携です)、方角がわかるコンパスと地図、非常食と飲料、そして携帯やスマホ用の予備バッテリーや乾電池式の充電器は常に携行します。※残念ながら今回の要救者は夜中に焦って動き回ってしまった形跡がありました。
3.バッテリーは極力温存する
携帯やスマホは山中ではバッテリーの消耗が下界より激しいので、もし連絡が取れたなら「次の連絡は明日朝6時にする」など連絡が取れた人と定時連絡時刻を決めて、特別な指示がない限り電源を切っておいてください。アプリやカメラを使われることが多いと思われますので、予備バッテリーや電池式充電器は最後の手段です。とにかく有事に備えバッテリー温存のことを配慮してください。
4.ご家族は、その山の管轄警察に連絡を
5.目立つ色の服装は発見しやすい
6.山岳保険は必須、内容と連絡先を家族に伝えておく
警察や消防など公共機関だけならほぼ無償ですが、捜索になると どうしても人手不足となり、我々のような救助隊が出ることもあります。そうなると有償です。また公共ヘリもほぼ無償(一部有償の流れあり)ですが、その際に空いていなければ民間救助ヘリが出ます。ヘリはよく1分1万円と言われますので、相応の金額がご本人またはご家族に請求されます。
それから遭難現場にたまたま居合わせた他パーティが、事故者を救助するために使った装備(ロープやカラビナ、スリング等)は損傷の有無に関わらず当然弁償しなければなりません。状況により救助に携わった他パーティの方々にも相応の謝礼を払うことが妥当でしょう。捜索救助付き山岳保険に入っていれば、後日それらを補填することもできます。ただし保険会社により給付できる内容とできない内容がありますので要確認です。
もし運悪く要救者がお亡くなりになって、ご家族に請求が来ても 山岳保険に入っていた事実を知らなければ、高額な請求に応じなければなりません。そうならないためにも、保険証券と連絡先、そして補償内容をご家族に伝えた方がよいと思います。
最後に
非常に参考になりました。各方面にシェアさせていただきますね。
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