トレイルランニングの始め方 – 山の相談小屋

アクティビティ:その他, カテゴリ:全般的なこと
相談者:えなっち (男性/30代)
普段はロードでのランやレースに出たりと、走ることを趣味にしています。
最近、トレイルランニングに興味を持ち始めています。
これまでほとんど山に行ったことはないのですが、ロードでのランとどのような点で勝手が違うでしょうか。ロードでの体力の使い方とはやはり違うものでしょうか。また、トレランに適した山、適さない山はどういったところでしょうか。

トレランを始めるにあたって勝手がわからず、何かアドバイスをいただけますと幸いです。

「いいね!」すると登山に関する情報を受け取れます↓

JMIA認定インストラクター
松本 善行
松本です。

トップアスリートには程遠いわたくしですが、まだ「トレイルラン」という名称がない頃(昔は「山岳マラソン」ですね)から、割と長く親しんできましたので、多少でもご参考になればと思います。

ロードとトレイルの違いで顕著なのが、トレイルでは足回りの筋力や膝関節をロード以上に酷使する点です(筋肉でいうところの大腿四頭筋,ハムストリングス,下腿三頭筋など)。この辺はどなたでも容易にイメージできることでしょうが、それに加えてランナーは足の着地点に対する継続的な注意力が要求されます。

それは路面環境が一歩一歩変化するトレイルでは、急な登りに対してはトップアスリート以外ランニング体勢をとることは体力的に厳しいですが、水平から下りに対しては体重をかける角度や滑りやすさを目視で確認する作業が早ければ早いほどランニング体勢が維持しやすくなるためです。極端な話し、着地する瞬間は足元を見ていません。目線は既に次の着地点を求め、先を見ています。

上記の注意力の注意とは、当然ながら転倒・滑落防止に対する注意ですが、それは各自のバランス感覚によって注意の度合いが異なりますので、そのバランス感覚を磨くためには、実際のトレイルで経験を積んでゆくことで育まれるでしょう。

それから私もそうですが、膝痛に悩まされている方はかなりの確率でいらっしゃると思いますので、膝のケアには意識を持たれて下さい。特に急な下りが連続するコースは要注意です。また、それと並行して大腿四頭筋などの筋力を下山完了まで発揮させるペース配分は、ロード以上に体調の管理に気を配る必要はあるでしょう。

トレイルランに適した山、適さない山、に関して、
トレイルランの発祥はアメリカです。その発祥地における本来のトレイルランの意義とは、未舗装の丘陵地帯やそれと同等の緩い傾斜地を、老若男女、誰でも本人の体力に適したペースで楽しく走ることにあります。それと対象的な日本の山岳地では、アップダウンの激しい急峻なコースが多いため、本来のトレイルランとは厳密には異なっていますが、既に市民権を得たこのジャンルでは広義にトレイルランで通っているのが現状です。従って適さない山(或は適さない箇所)とは、転滑落した際にただでは済まない(通常転落死に至ります)箇所が随所に出てくる山と言えます。

また、忘れてはならないのが一般登山者に対する思いやりの気持ちです。一般登山者の多いコースは接触の危険が伴います。ランニングの体勢で追い抜くことは相手に怪我を負わす可能性が高いですから、例えば追い抜く数十メートル前から歩行に切り替えて、相手を驚かせず(急に背後から近づくと、ほぼ誰でもびっくりされます)、抜いてから再びランニングに切り替える、などの配慮は必ずと言ってよいほど必要です。

最後に、個人で楽しむトレイルランと、トレイルランの大会は、また別の問題(環境問題など)が発生するという意味で、質が違うことを申し述べておきます。

JMIA認定インストラクター
栗山 祐哉
Kuri Adventures 代表の栗山です。

まずご認識頂きたいのは、トレイルランニングもまた登山の一環であると言うことです。
トレイルランニングは多くの場合、滑落死亡リスクの低い低山のなだらかな登山道を使用することが一般的ですが、それでも捻挫や骨折などのリスクは街よりもずっと高くなります。
さらに万が一負傷してしまった場合には、街と違ってすぐに救急車で救助されるわけでは無く、天候次第では救助まで数日要することも多くあります。また不整地なので、軽い捻挫でも行動不能に陥る場合もあります。
この様な時に自己脱出するためのセルフレスキュー技術や応急処置を行うファーストエイド技術、緊急野営の為のビバーク技術などが必須となります。またこれらを行うための装備もやはり大切です。

登山は多くの学習の上にその安全が成り立ちます。
是非しっかりと学習機会を設け、さらにハイキングの経験なども積んだ上でトレイルランニングを楽しみましょう!
ご参考にして頂ければ幸いです♪

解決相談者:えなっちさん
松本さま、栗山さま

大変詳細なアドバイスありがとうございました。
とても参考になりました!

インストラクターに相談する(無料)

 

合わせて読みたい

家族が安心して山へ送り出してくれる登山者になるために

当サイト「GoALP – 山を楽しむ人のための安心・安全登山メディア」の監修者でもあり、登山を教えることのできる者が集まった非営利集団で、山岳事故を減らすための啓発活動をしている日本登山インストラクターズ協会(2013年創立・岩崎元郎代表)が、来春より開催する3期目「JMIA登山講習会」の受講者を募集しています。あなたも、一年かけて実際に山に登りながら山岳指導者の手ほどきをうけてみませんか?

電子書籍:初級中級・登山の教科書を進呈

安全な登山のためには、総合登山力が必要になりますが、ネットや雑誌などで知る単発的、断片的な知識だけでは安全な登山のためには十分とはいえません。本書は、JMIA登山インストラクターの水上宏一郎・著、岩崎元郎・監修による、主に登山入門から5年目くらいまでの初級者・中級者に焦点を絞り、安全に登山を行う上で必須の知識を体系的にまとめたものです。

  • そういえば登山に関する知識ってきちんと学んだことない
  • 断片的に知ってはいるけど、全体的には知らないことが多い
  • 登山で怖い思いをしたが、どうすればよいかわからない

などに該当する方は必見の一冊となります


電子書籍(PDF)をダウンロード

SNSでもご購読できます。