最近、トレイルランニングに興味を持ち始めています。
これまでほとんど山に行ったことはないのですが、ロードでのランとどのような点で勝手が違うでしょうか。ロードでの体力の使い方とはやはり違うものでしょうか。また、トレランに適した山、適さない山はどういったところでしょうか。
トレランを始めるにあたって勝手がわからず、何かアドバイスをいただけますと幸いです。
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松本 善行
トップアスリートには程遠いわたくしですが、まだ「トレイルラン」という名称がない頃(昔は「山岳マラソン」ですね)から、割と長く親しんできましたので、多少でもご参考になればと思います。
ロードとトレイルの違いで顕著なのが、トレイルでは足回りの筋力や膝関節をロード以上に酷使する点です(筋肉でいうところの大腿四頭筋,ハムストリングス,下腿三頭筋など)。この辺はどなたでも容易にイメージできることでしょうが、それに加えてランナーは足の着地点に対する継続的な注意力が要求されます。
それは路面環境が一歩一歩変化するトレイルでは、急な登りに対してはトップアスリート以外ランニング体勢をとることは体力的に厳しいですが、水平から下りに対しては体重をかける角度や滑りやすさを目視で確認する作業が早ければ早いほどランニング体勢が維持しやすくなるためです。極端な話し、着地する瞬間は足元を見ていません。目線は既に次の着地点を求め、先を見ています。
上記の注意力の注意とは、当然ながら転倒・滑落防止に対する注意ですが、それは各自のバランス感覚によって注意の度合いが異なりますので、そのバランス感覚を磨くためには、実際のトレイルで経験を積んでゆくことで育まれるでしょう。
それから私もそうですが、膝痛に悩まされている方はかなりの確率でいらっしゃると思いますので、膝のケアには意識を持たれて下さい。特に急な下りが連続するコースは要注意です。また、それと並行して大腿四頭筋などの筋力を下山完了まで発揮させるペース配分は、ロード以上に体調の管理に気を配る必要はあるでしょう。
トレイルランに適した山、適さない山、に関して、
トレイルランの発祥はアメリカです。その発祥地における本来のトレイルランの意義とは、未舗装の丘陵地帯やそれと同等の緩い傾斜地を、老若男女、誰でも本人の体力に適したペースで楽しく走ることにあります。それと対象的な日本の山岳地では、アップダウンの激しい急峻なコースが多いため、本来のトレイルランとは厳密には異なっていますが、既に市民権を得たこのジャンルでは広義にトレイルランで通っているのが現状です。従って適さない山(或は適さない箇所)とは、転滑落した際にただでは済まない(通常転落死に至ります)箇所が随所に出てくる山と言えます。
また、忘れてはならないのが一般登山者に対する思いやりの気持ちです。一般登山者の多いコースは接触の危険が伴います。ランニングの体勢で追い抜くことは相手に怪我を負わす可能性が高いですから、例えば追い抜く数十メートル前から歩行に切り替えて、相手を驚かせず(急に背後から近づくと、ほぼ誰でもびっくりされます)、抜いてから再びランニングに切り替える、などの配慮は必ずと言ってよいほど必要です。
最後に、個人で楽しむトレイルランと、トレイルランの大会は、また別の問題(環境問題など)が発生するという意味で、質が違うことを申し述べておきます。
栗山 祐哉
まずご認識頂きたいのは、トレイルランニングもまた登山の一環であると言うことです。
トレイルランニングは多くの場合、滑落死亡リスクの低い低山のなだらかな登山道を使用することが一般的ですが、それでも捻挫や骨折などのリスクは街よりもずっと高くなります。
さらに万が一負傷してしまった場合には、街と違ってすぐに救急車で救助されるわけでは無く、天候次第では救助まで数日要することも多くあります。また不整地なので、軽い捻挫でも行動不能に陥る場合もあります。
この様な時に自己脱出するためのセルフレスキュー技術や応急処置を行うファーストエイド技術、緊急野営の為のビバーク技術などが必須となります。またこれらを行うための装備もやはり大切です。
登山は多くの学習の上にその安全が成り立ちます。
是非しっかりと学習機会を設け、さらにハイキングの経験なども積んだ上でトレイルランニングを楽しみましょう!
ご参考にして頂ければ幸いです♪
大変詳細なアドバイスありがとうございました。
とても参考になりました!
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