日本の山は、その急峻な地形とそこを流れ落ちる豊富な水で構成された「沢」が無数に存在します。
山の地形は尾根と沢で交互に形成されていますが、通常一般的な登山では尾根上に作られた登山道を使用して登山を楽しんでいます。
沢登りは登山地図に記載された登山道を離れ、文字通り沢地形、特に水の流れる渓流や滝を遡行するもので、日本特有の登山形態とも呼ばれているようです。
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沢登りは整備された登山道とは違い、地形を読み取り現在地と進むべき方向を特定する読図力や、急峻な岩場や滝を登るクライミング力、さらには安全を確保するためのロープワークや装備の使い方など幅広い知識と技術を要する、まさに登山の総合格闘技といえます。
そんな沢登りについて、山岳指導のプロから登山の総合スキルを学べるJMIA登山講習会で2020年7月と9月に実施された沢登りの講習山行の内容を交えて、その魅力をお伝えしたいと思います。
爽快なシャワークライミング
夏場に行う沢登りの魅力はなんと言っても爽快感でしょう。
ここ数年、毎年夏になると異常気象とも言われる猛暑が各地を襲っています。登山でも、特に低山の尾根などは蒸し暑かったりしますよね。
でも沢に入ると、沢に流れる水の冷気でひんやりとても気持ちが良いものです。
そしてなんといっても、冷たい水を浴びながらのクライミングは爽快そのもの!
岩稜帯やゲレンデでのロッククライミングとは異なり、濡れた岩場や苔などで滑りやすい地形をよじ登るスリリングなクライミングも魅力の一つでしょう。
原生の自然を感じる美しい景色
登山で出会う風景は美しいものです。
夏のアルプスの雄大な稜線、真っ赤に燃える紅葉、日の出や日の入りのつかの間のマジックアワー、静寂につつまれた雪の樹林帯・・・。
どれも素晴らしい景色で僕の好きな山での風景ですが、もう一つ大好きな景色、それが沢を歩いているときの風景です。
そこには、手付かずの原生林と苔むした岩、そして清らかな渓流があります。
そこに陽の光が射し、きらめく水面と鮮やかに輝く森の緑にはとても心が癒やされるものです。
登山道とは違い行く人も限られるため、そういった景色を自分たちだけで独占できるというのも魅力の一つなのかもしれません。
創造性と冒険的要素
沢登りは通常の登山やハイキングとは異なり、登山道のような整備された山道ではなく、本来の山そのものを歩くことになります。
人が整備した道ではないため、道中にどのような難路があるかわかりません。
そのような難路を乗り越えていくためには、クライミングなどの技術やロープや確保器といったギアをうまく活用して通過する工夫が求められます。
また、沢はいくつも分岐があるため、目的に向かうためにはどの方向に進めばよいか、まるで迷路のような状況です。
このような状況では、地形図上で常に自分たちの現在地を把握し、コンパスを駆使して進むべき方向を特定しなければなりません。
また、これは岩場全般にいえますが、上りは比較的容易に進めるものですが、道を間違えたからといって下って引き返すのは困難が伴います。
人はよじ登るのは得意でも下ることは苦手なのです。
したがって読図の技術は重要であるとともに、万一間違えた場合でもロープを用いて下って引き返す懸垂下降の技術が沢登りでは重要になってきます。
また、岩や滝を登る際にも、どこで安全のための支点をとるかなどの工夫が必要になったりします。
このように、沢登りには困難をいかに回避して前進するかといった冒険的な要素が詰まっており、それもまた沢登りの大きな魅力の一つとなっています。
沢登りを楽しむためには
沢登りを初めて体験した方の多くは、登山にこんな世界があったのかと驚きハマっていく方が多いように思います。
でも基本的には沢登りは一人ではできませんし、たとえ複数人であろうとしっかりとした知識と技術を備えたリーダーがいなければそのパーティは遭難予備軍といえます。
とはいえ、身近にそのような人がいるとは限りませんよね・・・。
登山の総合的な知識とスキルを学ぶJMIA登山講習会では、仲間とともにクライミングや読図、縦走、雪山などのいわゆるバリエーションルートにも対応できる登山の総合力が身につく講習会です。
身近に沢登りを教えてくれる方がいない方は、この講習会で仲間と一緒に学んでみませんか?
ちなみに今回の山行の講師は、「丹沢の谷200ルート」の著者であり表丹沢遭難対策協議会 救助隊長の後藤 真一氏。
その道の一流のプロフェッショナルから直接指導を受けられるのもJMIA登山講習ならではです。
後藤さんには沢登りだけでなく、クライミングやセルフレスキューの講座などでもお世話になっています^^
JMIA登山講習会について、ご質問等あればお気軽にお問い合わせいただければ、講座担当マネージャーより丁寧にお答えいたしますので、気になる方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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登山の総合スキルを体系的に学びたい方必見!
当サイト「GoALP – 山を楽しむ人のための安心・安全登山メディア」の監修者でもあり、登山を教えることのできる者が集まった非営利集団で、山岳事故を減らすための啓発活動をしている日本登山インストラクターズ協会(2013年創立・岩崎元郎代表)が、来春より開催する6期目「JMIA登山講習会」の受講者を募集しています。あなたも、一年かけて実際に山に登りながら山岳指導者の手ほどきをうけてみませんか?