秩父 小鹿野の秘峰、白石山(毘沙門山)バリエーションルート – JMIA登山講習会

山岳指導のプロから登山の総合スキルを学べるJMIA登山講習会、今月は梅雨時の秩父・小鹿野にある隠れた名峰、白石山(はくせきさん、別名毘沙門山・997m)です。

白石山には一般的な登山道は基本的になく、地形図とコンパスを頼りに自らルートを切り開く、いわゆるバリエーションルートでの登山となります。登山道がないため、山に入る人も少なく静かで手付かずの自然を楽しみながら登山をすることができるのも魅力です。

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人の手が入っていない山の中を歩いたり、踏み跡が不明瞭は登山道を歩くには、現在地を把握し進むべき方向を見定めるスキルや、地形の弱点をついて通過可能なルートをみつけるスキルが重要になってきます。なぜなら、そのような技術を身につけていないと、あっという間に深い森の中で現在地を見失い遭難に繋がりかねないからです。

ということで、今回の講習のメインテーマはバリエーションルートでの登山を安心して楽しむために必須の山岳ナビゲーションスキル、つまり地図読みとルートファインディングです。

登山計画

今回の登山は、登山道がないため山頂までのルートと下山ルートをどのようにとっていくのか、予め地形図にルートを記載していくところから始まります。講師から提示されたのは、坂井勝生氏のエッセイ・続・秩父藪尾根単独行 (YAMAKEI CREATIVE SELECTION Frontier Books(NextPublishing))で描かれているルート。エッセイを参考に地形図と比較しながらルートを書き込んでいきます。

エッセイを読みながら、地形図にルートを書き込み当日の登山のイメージを膨らませていきます。沢歩きあり、尾根歩きあり、岩稜帯もあり標高1000mにも満たない山ですが、確かにエッセイになるくらい魅力のつまった登山になりそうだなと感じました。

いよいよ当日

朝9時に西武秩父駅に集合し、そこからジャンボタクシーで県道282号線沿いの新要トンネルまで向かいます。タクシーを降りたらすぐ脇の中学校でまずはブリーフィング。入山の準備やコンパスの使い方などを再確認し、高度計の高度をあわせます。この日は雨予報にも関わらず思ったほど雨は降っていなかったですが、予め上下GORE-TEXの雨具を着込みます。

脇の林道から入り、しばらく歩いているとやがて林道か山道かあいまいになり、いよいよ人があまり入らない場所での山歩きが始まります。さっそく、とてもじゃないが信頼できそうにない今にもくずれそうな橋が登場します。慎重にわたる人もいれば、不安な人は沢に降りてわたる人もいます。わたる場合は必ず一人ずつ!

その後はしばらく沢を遡行していきます。水量は少ないですが、沢登りの感覚です。通行しやすい、いわゆる弱点を見つけながら小さな滝を登り沢沿いを歩きます。

さらに立ちはだかる滝と岩壁。岩壁から登ることは可能でしたが、不安なメンバーにはロープを出して少し傾斜のゆるい草つきから登ってもらいます。

そんなアドベンチャー、冒険的な登山を堪能しながらさらに遡行していきます。その際にも重要なのが、今自分がどこにいるかの確認です。それがわからないと、あらかじめ計画していたとりつくべき尾根がわからなくなってしまいます。

地形図の沢と尾根を実際の地形と現在の高度を照らし合わせ常に現在地を確認し、あと100mくらい歩くと大きな沢が左手にあるはず、など予想しながら歩きます。

目的の尾根までつくとそこで少し長めの休憩をとり、いよいよ尾根歩き。本格的な上りが始まります。そのため、ここでウェアの調整を行います。

沢登りは沢の分岐ごとに間違った方向に入らないよう注意が必要ですが、尾根登りは基本的に道に迷う要素が少なくその点は神経質にならずにすみますが、そのかわり(!?)なかなかの急登にみなさん息が上がっていきます。等高線が混み合っているところは、フリクションをしっかり聞かせながら歩かないと滑落しそうなくらいの斜度です。

通常の登山道であればトラバースしながらつづら折りに登っていくので傾斜が緩みますが、ここは登山道のない尾根。基本的に踏み跡もなく直登していくため斜度をもろに感じます。

それでも、新緑と霧の幻想的な雰囲気につつまれると疲れも癒やされます。

いよいよ尾根の急登もおわり稜線にでると山頂はもうすぐそこ。山頂は岩峰で構成されており、巻きながらよじ登りついに登頂!

本来は両神山や二子山など秩父山塊が一望できる眺望があり、高度感のある山頂なのだそうですが、この日は生憎の雨。視界ゼロ!霧のためまったくそんな感じがしませんでした。残念〜。

さて、このあとは下山です。下山ルートはのぼってきた尾根とは別の尾根を下る計画です。下る尾根を間違えないように慎重に地図を確認しながら歩きます。

下りも登りと同様に急斜面の尾根下りです。これは慣れていないとけっこう恐怖感があり、木につかまりながら皆さん降りていきます。時折、石を落としてしまい「ラク!」という声が響き渡ります。

そんな中、女性メンバーのKさんは慎重に下る男性陣を横目に身軽にひょいひょいと急斜面を降りていきます。聞けばスキーをやっていたとのこと。納得の滑り、いや下りでした。

尾根の分岐地点では慎重に地図と方向を確認し、ほぼ迷うことなく地形図上の破線ルートに乗ります。ここからは踏み跡もある程度ある登山道だし、余裕かなと思っていたら最後に罠がまっていました。進むべき方向が深い藪に覆われて進めなくなってしまい、みんなでルート探しをすることに。

講師いわく、完全な自然地形よりも人工物が出てくると逆に罠にはまりやすいことがあるので要注意とのこと。納得です。

なんとかルートを見つけ出し、無事下山地点の赤い橋に到着!

最後は恒例の反省会。今回の山行は冒険的な登山の充実感とともに、登山の様々な要素が含まれていて得るものが多かったとみなさん感じていたようです。その後もあれやこれやを語り合い、あやうく最終の特急を乗り過ごすくらい盛り上がりました。

というところで、皆さんお疲れ様でした!

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今回のようなバリエーションルート登山は、地形図読みやルートファインディングだけでなく、クライミングの技術やロープによる安全の確保、緊急時の対処など総合的な登山のスキルが必要になってきます。そういった技術を学ぶことで、これまでのみなさんの登山はより安心して充実感のあるものになります。

さらには一般登山道では味わえないような冒険的な登山、手付かずの自然、誰も見たことのない絶景にめぐりあうチャンスの幅も格段に広がります。

こういったスキルは単発の講習会ではなかなか身につきづらいこともあり、JMIA登山講習会は2年間にわたり総合的な登山のスキルを学んでいただくことが可能です。また、固定メンバーで講習会を行うので山の仲間づくりにも最適です。

興味のあるかたは、こちらからお気軽にお問い合わせください。みなさまのご参加をおまちしております。

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