アイゼンの選び方について相談させてください。爪の数が6本、10本、12本のものなどがあると思いますが、基本となる使い分け方はあるでしょうか。
どのようなシチュエーションのときには何本の爪のものを使う等です。たとえば季節、標高、雪質によるでしょうか?
質問の意図は、この時期、1000mくらいの低山の雪山に行く際、何本爪がベストなのかどのように考えればよいかを知りたいというのがあります。ご教示いただければ幸いです。
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栗山 祐哉
Kuri Adventures 代表の栗山です。
積雪期には12本爪のアイゼンの装着が基本だと考えて頂いて良いでしょう。
但し1000m程度の低山で、且つ危険箇所がさほどない山なのであれば、まずは6本爪アイゼンから始めることを推奨します。
6本爪アイゼンには前爪と踵の爪がなく、つま先立ちや踵からの着地をするとスリップを起こします。では12本爪アイゼンの方が安全ではないかと言われれればその通りなのですが、12本爪アイゼンでも踵からの着地は不安定になるし、つま先立ちは脹脛の筋肉の消耗を早めます。
いずれの場合も、足裏全体を雪面に均等につけて歩く、フラットフィッティングが求められます。
6本爪アイゼンから始めることで、このフラットフィッティングを強制的にトレーニングすることができます。なにせフラットフィッティングで歩かないと滑ってしまいますから。
まずは6本爪アイゼンから始めてみては如何でしょうか?
尚12本爪アイゼンを購入の際には、必ず靴とアイゼンの相性を確認の上で購入しましょう。
詳しい店員のいる専門店での購入を強く推奨します。
一見簡単そうで、実はかなり深いアイゼンと靴のセットアップ。確実な取り付けができないとリスクです。
以上、ご参考にして頂ければ幸いです。
岩崎 元郎
アイゼンの爪の数は、多いほど滑り止め効果は大きいことになります。しかし、引っ掛かり易い分、足運びのへたっぴな初心者はクラストした雪面だけでなく、木の根や岩角に引っ掛けて転倒したり、ロングスパッツに引っ掛けて破ってしまったりします。
爪数の少ない6本爪アイゼンでは、岩角やロングスパッツに引っ掛ける頻度は減りますが、つま先とカカトの部分に爪がないので、アイゼン着用時の原則、フラットフッティングの足運びができないと、ちょっと急な登りでつま先から着地すると、そこには爪がないのでつるっと滑ります。
下りではカカトから着地してしまい、そこには爪がないのでつるっと滑ります。安全のためではなく、安心材料として携行するのが6本爪アイゼンでしょう。
滑ってころぶ、それで滑落を招くような雪山なら、安全のために10本爪あるいは12本爪の本格的なアイゼンが必要です。滑ってころんでも滑落する危険のない雪山なら6本爪で問題ありませんが、大は小を兼ねますので初めから本格的なアイゼンを用意し、アイゼンワークの習熟を心掛けた方が安心かと考えます。
6本爪で問題ないような雪山なら、チェーンアイゼンの方がベターかも知れません。山道具専門店で購入の際、相談されたらいいと思います。
10本、12本はどちらも前爪が出ている「出っ歯のアイゼン」で機能は同じです。靴の小さな人は10本、靴の大きな人は12本にしたらいいと思います。
とても参考になりました。
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