Climb&Run!白馬縦走の絶景と軽量化装備を紹介

縦走レポート

Day1 八方尾根〜唐松山荘

初日、八方尾根スキー場に朝の9時過ぎに集合した我々は、ゴンドラとリフトを乗り継いで一気に標高1,800mの八方池山荘へ。

ここから登山スタートできるって文明の利器さまさまですね〜。

天候は、下界は晴れていたものの、リフトに乗っている途中からガスの中へ突っ込む感じで、ヤマテンの予報でも遅い時間は雨が降る予報。

眺望はあまり期待できないかな〜と思いながらも、時折晴れ間から覗く景色にテンションがあがります。

しかし、八方池につく頃にはまた厚いガスに覆われてしまいます。

さらに標高上げていくと、下のカンバ・上のカンバとよばれるダケカンバの林が現れ、それを抜けると丸山ケルンです。

本来なら右手には猫ちゃんの頭のような不帰2峰と白馬三山がドーーンという感じなのですが、残念ながら、今回はお目にかかることはできませんでした。

積雪期には良く山スノーボードをしに滑りにくるので、ご参考まで。無雪期の猫ちゃんにも会いたかった。

そこからしばらく歩いて小高い尾根で小休止しているとついに雨が降り出し、レインウェアを着込みます。が、すぐやんでしまい、暑いけどみんな悔しいので着続けます(笑)

そうこうしているうちに唐松山荘に到着。

コロナの影響で山小屋での宿泊はやっていないものの、小屋は開けてくださっていてトイレや売店など利用できるのがありがたい限りです。

テン場は小屋から少し下ったところにあり、それぞれテント設営作業に取り掛かります。

テント設置がおわると、お待ちかねの乾杯タイム!軽量化のためにもいっぱい飲むぞーと意気込みます(笑)

しばらくするとまた雨が振り始め、少し本降りになってきたので撤収し各自のテントに入ります。雨がテントに当たる音を聞きながらいつの間にかウトウトしていたようで、気づけば雨音もやんでいたので外に出てみます。

すると、雲がだいぶとれていて、立山方面の絶景が眼前に現れます。ちょうど劔の山頂には雲がかかっていましたが、この景色をつまみに宴会リスタート。

美しい夕焼けも堪能しながらお酒が進みます。アルプスのテン泊はこれが良いですよね〜。

さて、明日はいよいよ不帰の嶮。しかも下り方面のため緊張するな〜と思いながらも、それ以上に明日は栂池まで走り抜けるのか、猿倉に降りるのか。判断しなければと思いながら悩みます。

ヤマテンの予報によれば、曇&雨。うーん、この時点で7割くらい猿倉下山かな。

本当はこの山行の手前で、白峰三山走って体力面での事前チェックをする予定が悪天候のため叶わずだったし、眺望も微妙だろうしなどとやらない理由を探しながら寝床に入ります(笑)

地面からの冷気をシャットアウトできず寒く、また、さきほど寝てしまったのと今日はあまり疲れていないのでなかなか寝付けず。

Day2 唐松山荘〜不帰の嶮〜白馬三山〜栂池

翌朝、朝食やテント撤収を済ませて予定通り朝5時に唐松山荘を出発。思ったよりも天気はよく栂池まで持つ可能性もあるかも・・。ひとまず判断は先送りして天狗山荘で判断することを決めます。

ほどなくして唐松岳山頂に到着し、360度大パノラマと朝日を堪能します。

そしてここから先はいよいよ不帰エリア。緊張感とともに気を引き締めます。

不帰に入ると雨がポツリポツリ。ただでさえ、登りに比べるとクライムダウンは難しいうえに、雨で滑るようになるので難易度UP。

そして気分的には、今日は栂池まではやめておこうかな・・という感じに。

いよいよ核心部の第2峰北峰から第1峰へと向かう下り。自分も含めみなさん、クライミングもしっかり練習しているのでトラブルもなく通過します。

冷静に落ち着けば、ガバだらけで安心して三点支持もできるので、特に安全確保をすることもなくフリーで通過することができました。

とはいえ、集中していたのですっかりクライムダウン映像を撮るのを失念。

今回の山行のメインコンテンツになるはずだったのに、取材・編集者として大失態・・・目も当てられません(涙)

さて、不帰の嶮を抜けるとお次は通称「天狗の大下り」。なんですが、今回は方向的に大登りすることになります。

このころにはまた晴れてきて、心地の良い稜線歩きが続きます。

天狗の大下りを登り切ると、もうすぐ運命の天狗山荘。

このときの僕の心境は、体力的には絶好調だし、この天気なら全然アリだな〜。そして鑓温泉を通って猿倉に下山するルートは以前歩いたことがあるけど、延々と下るのもそれはそれで辛いんだよな〜と思い始めます。

このままうまく天気が持って、白馬三山を超えて小蓮華、白乗、天狗原とアルプスの絶景を楽しみながらゴールを迎える天国コースとなるか、天気がくずれて雷でもなり始める地獄の稜線コースとなるか神のみぞしる状況。

様々な思いが交錯し、なかなか決められません。優柔不断か。

そんな感じで悶々としながらとうとう約束の地、天狗山荘に到着。

なのですが、このあとあっけなく判断が下されることに。

まずは登山道の様子を確認するため山小屋の主人に話を聞いてみると、なんと猿倉への下山ルートは先日の大雨で橋が流されて通行止めとのこと。

がんばれば行けなくはないとは思うがおすすめしないということだったので、ここで腹が決まります。白馬山荘でアイゼン借りて大雪渓下るという手もありますが、そこまでいくなら栂池まで行くしかない!ということで決定!!

ただ、これは完全に事前の調査不足ですね。反省・・。

外部要因であっけなく選択肢がなくなり、そうと決まれば、時間もないのでここまで同行させてもらったメンバーに事情を話し、一足先に出発します。出発時刻は9:45。

天気よもって!と心の中で祈りながら、さぁ、ここからは3000mの極上稜線ラン!もう最高〜。これぞマウンテンランニングぅ!

走り初めて最初の山は白馬鑓ヶ岳。いかつい山容がかっこいいですね。

続いて杓子岳へ。おそらく、このあたりで栂池から縦走してくるAチームとすれ違うはず!と思っていたら予想通りばったり。

しばしお互い状況を共有したら別れを告げます。

このAチームは明日不帰の嶮を通過予定でしたが、さらに天気が悪化する予報なので少し心配です。(結果、雨の不帰をトラブルなく突破、さすがJMIA受講生)

杓子を超えると次は白馬岳が目に入ります。そして白馬山荘に到着したのが11:20。

ここまでのCT比率を計算すると0.5。想定よりだいぶ早いペースなので、ここで小休止をはさみます。この先トラブルがなければロープウェイに間に合わない事態は避けられそうで一安心。

しかも、ここまで天気はよく持っていてくれています。ただ、午後になれば早いうちに雨が降るかもしれないことを考え、すぐに出発。

長野・新潟・富山を分ける三国境を通過し、小蓮華山と船越の頭を超えたら残す山は白馬乗鞍だけだと自分に言い聞かせながら走ります。

雷鳥坂を降りるとそこはもう白馬大池。いよいよ天気が持たないかなという雰囲気。でもまだ雨は降っていません。

山荘でトイレを済ませたら、大池を横目に見ながら、最後の山である白馬乗鞍岳を登ります。大池からだと、地形図を見るかぎり大した登りではなく、実際ゴーロ帯であることを除いて苦もなく登頂。

無雪期は歩いたことがないのだけど、冬は良くここから天狗原や自然園までひゃっほーいいながらスノーボードで滑っているため、あとはデザートタイムだなと高をくくっていたら、ここからまさかの地獄をみることに・・・。ヒィィ。

大池から続くゴーロがこのあとも延々と続き、うんざり&ぐったり。疲れた足に追い打ちをかけてきます。

そして疲れから油断して、くるぶしなんかを岩にぶつけて苦悶するというあるあるプレイを味わいながら、高度計が示す標高の減りの遅さに苛立ちます(笑)

ようやく天狗原が見えてきた!

天狗原の木道で一瞬ここは天国か!と思いましたが、これもまやかし。自然園まで下る道も地味に岩が多くて濡れていて、神経すり減らしながら足の力も吸われまくります。

よく考えると、白馬鑓ヶ岳に向かう登りでジェル1個摂取して白馬山荘で羊羹たべた以降、下り基調なこともあって行動食とるのを忘れており、その影響が出たのかもしれないと本日2つめの反省。

ソロだとついつい補給怠りがちなんですよね。これは次回に活かすことにしようと思います。

そんなこんなでヘトヘトになりながらようやくロープウェーに到着。

お疲れ自分!と思ったと同時に雨が降り出すあたり、見事に勝負に競り勝ったような余韻を残して今回の山行を終えることができました。

到着時刻は14:50分なので、白馬山荘からはCT比率0.6とペースdown。悪路でスピードが出なかった以上に補給不足による疲労が要因としてあったのでしょう。

結果的には、天狗山荘からのCT比率は0.57と余裕をもった行動ができ、天気も概ね良好というすばらしい山行でした。

帰宅後、この写真にある山々を端から端まで走破したことに一人ニヤニヤしながらこのブログエントリを書き終えるのでした。(完)

山行の統計情報

  • Day1
    • ルート:八方池山荘〜唐松山荘
    • 距離:5.6km
    • 獲得標高:+796m / -85m
  • Day2
    • ルート:唐松山荘〜白馬三山〜栂池ロープウェイ
    • 距離:23.1km
    • 獲得標高:+1,440m / -2,185m

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