岩稜帯の尾根から望む絶景、赤岳天狗尾根テント泊縦走記

今回の山の活動記は天候に恵まれた10月の初旬、八ヶ岳は赤岳・天狗尾根を1泊2日のテント泊での縦走の記録です。

赤岳の東側で真教寺尾根よりひとつ南側の天狗尾根は、いわゆる一般登山道ではないバリエーションルートです。今回は核心部の岩峰は巻きつつ、岩稜帯でのルートファインディングやちょっとしたクライミングを楽しみどころとした山行でした。

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メンバーはJMIA登山講習会マネジャーの水上さんが主宰する「みどるの会」とJMIA講習生のそれぞれ有志メンバーで構成されたパーティ。ハセツネ出場予定者(残念ながら今年は初の中止となりましたね)や2019年のPTL®(※)完走者を含む健脚揃いの総勢9名のパーティでした。

※La Petite Trotte à Léon、UTMBの姉妹レースでトルデジアンやトランスジャパンアルプスレースなどと並ぶウルトラレース

当日朝にJR小淵沢駅に集合し、クルマとタクシーで美し森駐車場へ。テントなど共同装備を分担し支度を整えます。僕自身、ここのところテント泊といえば一般登山道をファストパックで走るULスタイルばかりだったので、ハーネスやガチャ類に加え4人用テントを含めた夏山フルマックス装備の重量に少々ひるみます(笑)。

ギアのチョイス

参考までに、今回の山行で僕が使用したギアの一部を紹介します。

シューズ

今回のテント泊縦走は、いつもやっているULスタイルでのスピードハイクとは異なるため、悩んだのがシューズです。バリエーションルートなのでしっかりしたハイカットの縦走用の登山靴にするか、クライミング要素もあるので軽くて履きなれたトレイルランシューズにするか。

結論は、今回の日程は天気も良さそうなこともあり後者を選択。シューズは愛用しているSalomonのSense Ride 2 GTXです。ゴアテックス仕様なのとフィット感やグリップ力がよく、Quicklace™システムを採用しているのでひもを結ぶ必要がなく、瞬時に調節可能で激しく動いても緩みづらいんです。下山後は緩めた状態で脱ぎ履きがスムーズにラクに履いていられるところも気に入っています。見た目もいい感じですよね。

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結果はこのチョイスで正解!なんの不都合もありませんでした。

その他、普段から愛用している軽量化ギアのうち今回の山行でも活躍したものを紹介します。

マット

個人的にはコンパクトにまとまるインフレータブルなマットが好みです。僕が今使っているマットは、アメリカはユタ州のアウトドアブランド「クライミット」の「イナーシャ オゾン」というマットです。クライミットは軽量化にこだわっていて、見た目からして軽そうなのですが、イナーシャオゾンはたった357gという軽さです。にもかかわらず枕までついて寝心地もよい点が気に入っています。シュラフの中に入れて使えるのも便利ですね。

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シュラフ

軽量化の観点でいえば、SOLのエスケープビビィかエマージェンシーブランケットという選択もありましたが、今回は標高も高く、また山行の趣旨的にスピードが求められるわけではないので、ここは軽さよりも快適性を重視して3シーズン用のシュラフを選択しました。結果、心地よく寝れました。

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クッカー

お気に入りはToaksのUltraLight cook set 550mlです。ポッド、蓋、ストーブ、風防、スポークすべてあわせて122gという軽さ。エスビットを使う固形燃料タイプなので柔軟な火加減調節はできず、ガスに比べるとお湯をわかすのに多少時間がかかりますが、シンプルなヤマメシを作るのに火力が足りないということは今のところありません。気になる場合はストーブだけガス式をもっていくという手もあります。

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さて、ギアの話はこれくらいにして山行の様子を振り返ります。

Day1 – 美し森〜地獄谷〜天狗尾根2350地点

駐車場を出発し、しばらくは快適な林道を談笑しながら歩きます。地獄谷に入るころには先日の台風の影響がだいぶ残っている状況で道も荒れていました。

いくつかの堰堤を超えながら左岸右岸をわたりつつ、お昼前には出合の避難小屋に到着。心地よい日差しのもと一服しながら、これから取り付く尾根と急登に備えてエネルギーをチャージします。

避難小屋を出発し、地獄谷本谷と赤木沢の分岐を赤木沢方面に向かい、地形図とコンパスで取り付きポイントを見定めます。すると天狗尾根と記載されているわかりやすいテープをみつけ、そこから尾根にとりつきます。これまでの比較的穏やかな沢沿い歩きから凶悪な急登へと様変わりし、息も上がります。

ただ、バリエーションルートとはいえ踏み跡は比較的明瞭で大した藪こぎもなく、みなさん健脚で順調に高度を稼ぎ稜線にでます。2,100m付近にテン場適地があり最初の候補地でしたが、まだ時間もあり初日のうちに行程を進めておきたく、さらに登ります。

天気がよく、赤岳もみえてきました。

2,350m付近が地形図上は最後のテン場適地なのでここで張ることにしますが、さきほどの場所よりだいぶスペースは限られます。女性2人、先輩方3人、僕を含む若年組(?)の4人にわかれ、なんとかテントを3張り設営します。

 さて、テント設営も終わったらあとは寝るまで宴会です。これが楽しみといっても過言ではありませんね(笑)。まだ15時前で時間はたっぷりあります。あ・・・足りるかな、お酒。

僕は赤ワインのボトルを1本ザックに忍ばせておきました。でも、ビンではなくコンビニでゲットしたペットボトルのものなので、軽いし飲み終わったあともつぶせて便利です。つまみには、これもコンビニで買った鶏肉の燻製をナイフでスライスし、炙ると焼き鳥の良い香りが周囲に立ち込めます。

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我々以外は誰もいない、大自然の中での酒盛りは最高ですね!そんなこんなで辺りは暗くなり、就寝へ。

テント泊tips

我々のテントは4〜5人用テントに4人でしたのでスペースはかなり限られます。そのような状況でみんなが同時に色んな作業をするとカオスになりますよね。そんな場合は、ちょっとした取り決めをしておくとスムーズなんです。

まずテントに入るとき。今回は場所も限られるのでテント内で必要なもの以外は外に置くようにしました。次に予めテント内での各自のポジショニングを決めたら、マットを先に全員分入れておきます。

続いてテントに入る順番を決めておき、一人ずつテント内に持ち込むものを持って入ります。

朝はみんな同時におきるようにします。起きたらマットの空気を半分抜くなどして二つに折って座布団にし、四隅にわかれて空いた真ん中のスペースでみんなで食事の準備等をするようにします。

Day2 – 天狗尾根2350m地点〜大天狗〜赤岳山頂〜行者小屋〜美濃戸口

翌日、3時に起床し朝食やテントの撤収など出発準備を終えて5時に出発。まだ日の出前の暗闇のなか登り始めます。

あさイチの尾根上の急登に息を上げていると、徐々に空が白んできます。見晴らしの良いところで後ろを振り返ると見事な雲海に朝日が昇ろうとしています。絶景ですね〜。

個人的に、山での夜明けや夕暮れのマジックアワーは最も好きな瞬間です。一瞬なのですが、境界的な、なんとも神秘的な雰囲気です。夕暮れは逢魔時なんていいますしね。

さらに登ると「カニのはさみ」に到着。ここは左に巻いてフリーで岩を登っていきます。そのまま先行してルートを確認しにいきましたが、岩壁に阻まれてしまいました。実は手前でトラバースルートがあるのを見落としていました。

トラバースルートにはフィックスロープがありましたがこれには頼らず、今回の山行ではじめてロープを出します。リーダーがリードでトラバースルートにロープを張っていき、途中から草付きの壁を登るL字型のルート。

トラバースは10mほど、下は切れ落ちているので緊張しますがホールドは安定しているため難なくクリア。続いて草つきのルンゼ状の斜面をクライミングしていきます。

この区間での確保はペツルのタイブロックというデバイスを使用しました。従前はスリングをロープにまきつけるマッシャーなどのフリクションヒッチで墜落を防いでいましたが、自分がムーブするたびにスリングを移動させるのがストレスなんですよね。でも、タイブロックをつかうとそのストレスから開放され、ムーブに集中できます。おまけに軽いので軽量化の観点でも問題ありません。

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今回は総勢9人の大所帯ですが、皆スムーズに通過することができました。更に登っていくと森林限界に到達します。いつの間にか朝日も上り、小ピークでしばし休憩。まさに絶景〜。

権現岳もよく見えます。

ふたたびルンゼ状の岩場を登ると大天狗がみえてきます。

今回はここは登らず右に巻きますが、それでも7mほどの岩場で2回めのロープを出しクライミング。

 
 
 
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ここも全員難なくクリアすると前方に小天狗がみえてきます。

途中カモシカ先輩が絶壁に佇んでおり思わずパチリ。

小天狗は左に巻き、さらに登るとついに登山道を表す緑ロープが!登山道に出たときの達成感は半端ないですね〜。思わずハイファイブ!

デザートは赤岳山頂。登頂のタイミングだけガスってしまい残念。

当初予定では赤岳山頂をピストンし、キレットをこえてツルネから東稜尾根のバリエーションルートで美しの森に戻る予定でしたが、せっかくなので計画を変更し赤岳から阿弥陀岳を臨みながら美濃戸まで縦走することに。

みなさん健脚なのでひょいひょい下っていき、行者小屋から先はさらにハイスピードに。美濃戸山荘から先は私を含めて一部メンバーはランニングで〆るという貪欲さ。テントとガチャ背負ってのトレランも良いトレーニングです(笑)

という感じで、良き仲間と天気にも恵まれ楽しい山行でした!同行メンバーのみなさん、ありがとうございました。

最後に

今回のような山行は、地図読み・ロープワーク・縦走・バランスクライミングなど登山の総合力が問われます。また、それだけに単独での山行は難しく仲間の存在が重要になります。そんな登山の総合スキルと仲間づくりを目的としたJMIA登山講習会が2020年度から始まる第四期生を募集していますので、ぜひチェックしてみてください!

今回の山行ログ

ルート概要

ログ

 

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