日本スノーシューイング連盟が主催する、スノーシューを使いこなすための技術講習会体験レポート、前回の雪山登山編に続いて今回はレース編!
雪上のトレイルランレースと呼ばれるスノーシューイングレースは、毎年世界選手権大会も開催されるほど欧米では冬に人気のスポーツで、昨年はこの日本でも初めて世界選手権大会が開催されました。
「いいね!」すると登山に関する情報を受け取れます↓
雪上を、スノーシューといういわば足かせを履いて走り抜けるハードなレースに対応するため、この講習会では効率的なスノーシューや体の使い方を学べます。
その様子を体験レポートとして参加者より寄稿いただきましたので、紹介させていただきます。
また、今シーズンの講習会も参加者を募集していますので、興味を持たれた方はぜひエントリーしてみてくださいね!
体験レポート
大野洋子(東京都在住・みどるの会会員)
『1日目』
10時アストリアホテルフロント集合に間に合うための東京からのアクセスは、浅草からリバティけごん1号 東武浅草駅6:30発、北千住駅6:41、東武日光駅8:22着の電車に乗り、JR日光駅8:42発、東武日光駅8:45発、光徳温泉日光アストリアホテル9:55着のバスに乗る。
東武バスの乗車券は、東武日光駅構内(改札を出て左側)の東武ツーリストセンターで購入する。購入の際は、アストリアホテルに宿泊する旨(スノーシューイング技術講習参加)を伝えると、往復フリーパスが1500円で購入できる。
普通に購入した場合、片道1750円往復3500円なので半額以下でかなりお得。
バスの時刻表、観光MAP等もここでもらえる。東武のバスはJR日光駅始発と東武日光駅始発の二通りがあるが、東武日光駅とJR日光駅は徒歩2分くらいの場所にあるため、始発がJR日光駅の場合は、JR日光駅のバス停で待つ方が座る確率が高い。
当日、私は自宅からのアクセスと交通費を考え、特急りばてぃではなく、鈍行列車で東武日光駅に向かうことにした。
ここでトラブル発生。鹿が電車にぶつかったとのことで、列車が大幅に遅れる。水上講師に遅れる旨を連絡し、予定していたバスの次のバス東武日光駅始発9:05にぎりぎり乗車した。
10:15アストリアホテルに到着し、フロントでスノーシュー技術講習に来た旨を伝えると、1階の会議室に案内された。
水上講師からのご挨拶、講習の概要説明が終了したところで、資料が配布された。
事前に準備したスノーシューイング技術大系に沿って机上講習が始まった。
記事は登山偏とレース偏があるが、今回は主にレース偏に沿っての講習となった。
内容は、スノーシューイング技術大系に書かれているが、印象に残った部分を掻い摘んで書き記す。
<スノーシューの構造>
特徴は回転構造。無駄な力を抜いてスリッパを履いている時のようにズルーンズルーンと引きずって歩くイメージ。
そうすることで自動的に傾斜に合わせてスノーシューが回転し、クランポンは登りで使用、テールは下りで使用する。
<走り方のポイント>
ふくらはぎよりも、太もも、太ももよりも腰を使うように意識し、肩甲骨を使って腕を振り、腰を回転させる。体全体の反動で動くイメージ。
スピードを上げたいときは、肩を早く動かすことで、腕に伝わり、腕が大きく早く振られることに連動して足が速く動く。
蟹股はバランスが分散されてしまうため、内股を意識し、体幹を使いながら前傾姿勢を保つ。
登りの時はクランポン(母指球)に力を入れ、足首のスナップをきかせ雪面から足が離れる時に後ろへ蹴り送る。緩やかな登りでは傾斜に合わせ自然とフラットフィッティングとなりトラクションデバイス(横滑り防止)も自然に使えている。
下りの時はテールを使って滑り気味に足を動かす。片足のクランポンで雪面を強く蹴り、上空へ向かって高く飛び跳ね、前傾姿勢を崩さないように反対側の足のテールで着地し、スライディングした後、足首のスップをきかせクランポンで雪面を強く蹴る。これを繰り返す。
雪は転んでも痛くないから思いっきり飛び込み、飛び降り、飛び跳ねて自由に着地する。等々。
今までスノーシューとは、“雪の中を散歩する”道具のイメージだったが、この机上講習によって、この道具の特徴が理解でき、ただ履いて歩くだけではなく、道具をうまく使って走ることが楽しみになってきた。
机上講習は午前中で終了。
同会議室で各自準備してきた昼食をとり、午後の実技講習のため登山用の服装に着替え、準備を行った。
12:30 外へ出て実技講習開始。天候は曇り。時折晴れ間も見え、まずまずのお天気。
アストリアホテル前の光徳牧場へ移動。
実際にスノーシューの履き方、歩き方を教わる。JSSFグランプリシリーズのコースに沿って進み、途中、勾配のある所で下り方の練習。
午前中に机上で教わったことを頭に浮かべながら下りを走ってみる。なかなかイメージ通りにはいかない。上空へ高く飛ぶのは難しい。
水上講師のお手本。高齢なのにこの軽やかな走り!宙に浮いている!道具を熟知しているからこそできるこの動き。こんな風に走れたら気分良いだろうな。
皆さん何度も練習を繰り返し、最初より少し軽やかになってきた。
その後、ルート把握を兼ねて地図を見ながら歩き回る。
途中、コースを外れてラッセルの練習をしたり、ヤブ漕ぎをしたりしながら、先ほどの勾配より更に急な勾配を探し再び下り方の練習。自分たちで雪を踏み固め、下りやすい雪面を造る。
先ほどの水上講師の動きや、机上で教わったことを頭に浮かべ、再び下りを走ってみる。
水上講師からアドバイスをいただきながら何度か練習するうち、あっ、テール使えた!あっ、今上空へ飛んだ!!と徐々に進歩していることが体感できてだんだん楽しくなってきた。
水上講師の走り。テールを使いスライディングしながらも前傾姿勢。
うまくできるようになる頃には、その日の講習はおしまいというのが世の常。
2日目の講習は、登山道やクロカンコース内を単独で進むことになるため、ホテルへ戻るルートを把握しながら名残惜しむ気持ちでホテルに戻る。
戻る途中も下り坂で走る。水上講師のスピード感ある走り。
16時アストリアホテルへ戻り、1日目の講習修了。
各自チェックイン。雪の中とはいえ、動き回ってかなり汗をかき、普段使わない筋肉を使ったので、大浴場で汗を流し、ゆっくり湯船に浸かる。
18時夕食。お腹はペコペコ。楽しみにしていた夕食&懇親会。食堂の一番奥の席へ案内され、早速ビールで乾杯!
テーブルには豪華なお料理の数々。更に途中からお料理が追加される。
気づくと周りのテーブルには無い豪華食材が。水上講師の特別なプランにしてくださっているようです。
皆でスノーシューのことや、各々の普段の山行きの話しをしながら盛り上がる。
お酒もビールから日本酒へ移り、ゆっくりと20時過ぎまで宴は続いた。
(実際に雪山を走る2日目の講習会に続く)