日本ならでは登山形態である縦走登山。本稿では、夏山の縦走の魅力やロマン、実際的なプランニング法に続き、実際の縦走登山で役立つ12のノウハウをお伝えします。
夏山縦走では、日帰り登山やピストン登山にはない場面や状況に直面することもあるでしょう。
まだ経験のない方は、これまでの登山にくらべてどのような点に注意すればよいか想像できないことが多いと思います。
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そのような場面での対応ノウハウは、本来的には覚えてから登山するというものでなく、他人から聞いたり自分で経験したりして、これからも除々に蓄えていくものです。
とはいえ、あらかじめ知識として知っておくことは悪いことではありませんので、本稿では縦走登山で工夫すべきことや装備等のノウハウをまとめてみましたので、参考になれば幸いです。
(1)朝のスタート
目次
早寝早起きが原則です。夏の午後は雷が発生するし、秋は日が短いから早く次の山小屋に着かなくてはならないです。ゆっくり起きたら縦走にならないので、山小屋の朝食時間を待たずに出発することが多いですが、この時は朝食も弁当にしてもらいましょう。
(2)休憩・食事のとり方
早朝は寒いですが歩き始めると暑くなります。
歩き始めて30分で着替え休憩し、その後1時間毎に小休止するのが良いです。
縦走では休憩時間を短くするから、歩きながら次の休憩で何をするか考えておくことが重要です。
食べて・飲んで・トイレして・手袋出して、等を全部やる時間はありません。
行動時間をフルに使おうと思ったら昼食休憩を削ることになりますから、行動食や水分は少しずつ早めに補給しましょう。
その日に何が起こるか判らないのが登山だから、朝食はしっかり摂っておこう。何かあると1日中食べられないかも知れません。
(3)先頭はパーティー全体の動きを把握する
傾斜が急な所で詰まり、その先が緩いからといって先頭がドンドン行ってしまうと、後続が走らなくてはなりません。
(4)山小屋での注意
就寝前にヘッドランプは枕元に置きます。
しかし、トイレへ行く時には寝ている人の顔を照らさないように掌で覆う等の工夫をしよう。
朝早く喋ったり、荷物の整理でビニール袋をバサバサやるのは寝ている人に迷惑をかけます。
(5)現地の情報を得る
現地に連絡して最新情報を入手しておこう。崩壊した場所・残雪の量・川の増水・その他登山道の状況が分かれば事前の準備が出来ます。
山小屋が特別に混雑するのは海の日と8月のお盆及びその前後ですが、普通の時でも土曜日は混みます。
反対に空いている時は営業しない場合もあります。
(6)プランニング
縦走登山のルートはどちらから登ってどちらに下っても良いのですが、体力・技術が劣るメンバーが混ざる時は工夫が必要です。
脚力の無い人が急な傾斜を下ると膝を痛めたり転倒しますが、逆コースにして登りに使い、休み休み行けば問題ありません。また、難所は登りに使う方が危険が少ないのです。
途中でバテそうなメンバーに備えてエスケープルートを確認して、シュミレーションしておこう。プランニングは準備段階だけではなく、山行中常に見直して臨機応変に計画変更しなければなりません。プランニングはたくさん練習すれば上手くなっていくので、やり慣れると行動中とっさにアレンジできるようになります。
(7)パーティーの人数
4人組を1単位に考えるのが理想的で、理由は次の通りです。
- タクシーの乗客は4人。
- 列車のボックス席にフィット
- 事故が起こった時の対応に適している
- 標準サイズのテントに上手く納まる。
- 3人などの奇数より和を保つのに有利。
(8)登山計画書
登山計画は早めに作って全員に渡し、それぞれ家族の了解を得ておきましょう。
(9)一般登山用品以外で必要な装備
過剰に心配して、あれこれ詰め込んだらきりがありません。
バテない為の基本は軽量化だから、ガイドブック等でルートを把握して不要な装備は置いていきましょう。
落石の危険が無ければヘルメットは要らないし、簡易ハーネスで事足りるならスワミベルトは要りません。
ロープは7mm20mで済むようならこれで充分です。
雪渓歩きのアイゼンは現地で借りられるなら持って行かなくて大丈夫です。
しかし、高山は夏でも冷たいから手袋は必要で、何が起こるか分からないからツェルト・バーナーセット・救急セット・防寒具・非常食は必携です。
(10)疲労回復が重要
短い山行なら帰宅後に出てくる疲労や筋肉痛が長期縦走では山中で現れます。
少しでも軽減する為に1日の行動が終わったら筋肉が冷えない内にストレッチしよう。
ストレッチは筋肉をほぐして血行を良くし、乳酸等の疲労物質を排出する効果があります。
同時に、アミノ酸やクエン酸のサプリメントを飲んでおくと良いです。
(11)携帯電話の有効利用
タクシーを呼んだり、天気予報をみたり、遭難時に連絡したりで利用価値が高いです。
電波の届く範囲を常にチェックしながらも、充電量節約のために電源は切っておくか機内モード等の工夫をしましょう。
(12)登り優先?
混雑した登山道で几帳面なことを言ってはいけません。
今風の登山には“臨機応変”が相応しいと考えます。
団体さんの登りを延々と待つより、健脚2人組がさっと下った方が早く事が納まります。
また、中高年にとって登りで急ぐのは辛いから、待たれるのは嬉しくないのです。
重要なのは相手を思いやる心と笑顔のコミュニケーションです。
最後に
いかがでしたか。
本稿で紹介したノウハウはほんの一部にしかすぎず、各人が各人なりの工夫やノウハウをためていくことが重要だと思います。
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