みなさん、スノーシューという道具はご存知でしょうか。
スノーシューは、降り積もった雪の中を歩く際に足が雪の中に深く入らないようにするための道具で、言ってみれば日本古来のかんじきの現代版といったところです。
一般的には、スノーシューといえば比較的なだらかな雪山や雪原を散策するときに使ったり、もしくはバックカントリーでスノーボードをやる方であればハイクアップ時に履く道具というイメージがあります。
そんなスノーシューですが、なんとこれを履いて雪山でタイムを競うレースがあるのです!
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普通、雪山って走りませんよね・・・。というか走れないですよね・・・。雪山をやる人なんかは特にそう思うでしょう。でも本当に走るんです。トレイルランニングも、一般の方からみれば山の中を走るなんてスゴイと思われることが多いと思いますが、そのトレランをやる僕でも雪山レースなんて気は確かか(笑)と思いました。
そんなハードなレースこそ萌える、という方も実は少なくないと思っています。
僕もどちらかといえばそんなタイプですが(笑)、実は、GoALP インストラクターで「登山の教科書」の著者であり、JMIA登山講習会を主宰する水上氏が本レースを主催する日本スノーシューイング連盟の理事であり、大会の技術部長を務めていることもあり、今回僕も出場する機会をいただきました。今回は、そのレポートをしたいと思います。
日本山岳スノーシューイングレースとは
目次
雪の上を、スノーシューというある種足かせのようなものを履いて走るときいて、最初はなんてドM・・・いやハードなスポーツが存在するんだと思いましたが、実はその歴史は長く日本ではすでに20年以上毎年開催されているんです。
主催は日本スノーシューイング連盟で、レースをはじめスノーシューの魅力を伝えたり普及に努めている団体です。その上位組織として世界スノーシューイング連盟(World Snow Shoeing Federation)があり、日本ではまだマイナーですが世界的には競技人口も多く、世界のスノーシューレーサーが一堂に会する世界大会も開催されているほどなんです。
そしてなんと、来年開催される世界大会は日本の妙高で開催されることが決定しました!おめでとうございます〜。こちらについては詳細が分かり次第本サイトでも紹介したいと思います。
世界大会とはいえ、選ばれしアスリートだけではなく、どなたでもエントリー可能ですので、来年に向けて出場の検討されてみてはいかがでしょうか。世界大会ですので、メディア等の報道も含めて日本のスノーシューレースのブレイク元年になるかもしれません。
全日本スノーシューイング・グランプリシーズ
日本では、今季は全4戦のグランプリシリーズとなっています。第一回は白山大会、第二回は妙高大会、第三回は日光大会が開催され、第4回は2019年4月14日に奥志賀大会を予定しています。
種目は基本的に、ショートコースの5kmとロングコースの15km(または12km)になっています。
参加資格は特になく、走れる方であればどなたでもエントリー可能です。実際に今回出場してみて、普段から走られている方であればロングコースでも完走は十分可能と感じました。
スノーシューを持っていなくても大会本部からレンタルできますので、気軽に参加できるのも嬉しいですね。
なお、いずれか1つの大会からでもエントリー可能となっていますので、4月に開催される奥志賀大会にエントリーしてみてはいかがでしょうか?
日光大会レポート
今回僕が参加したのは3月10日に開催された日光大会。初めてですが、ロングがおすすめという口車にのり15kmコースにエントリーしました。
東武日光駅からバスで中禅寺湖を抜け、日光白根山と男体山に挟まれた光徳温泉にある日光アストリアホテルが今回の大会の拠点であり、スタート・ゴール地点を兼ねています。
立派なホテルで設備や食事もGood、何より源泉かけ流しの硫黄泉が最高のホテルです。レースに参加する人もしない人も、奥日光の自然と温泉・食事を堪能できますよ〜。
スノーシュー講習会
前日入りした僕は、その日開催されるスノーシューの実技講習会に参加しました。ここでは、スノーシューの装着の仕方から基本的な歩き方、さらには極力負担をかけない走り方や、その特性を活かした登り方・下り方の練習をします。
レースは足におもりを付けて走るようなものですので、効率的なカラダや筋肉の使い方を知っているかどうかは大きな差になります。また、下りこそ醍醐味で、いかにビビらずスピードに乗れるかが勝負になってきます。転んでもトレランと違って痛くないですしね!
やればすぐにコツはつかめますので、はじめての方はぜひ参加されることをオススメします。
その後は、翌日に備えて温泉を堪能して早めに宴会モードに突入(笑)、良きところで就寝。ちなみに、翌日のレースは11時スタートとかなりゆっくりできるので、安心して遅くまで飲むことができちゃいます。
レース当日
日光エリアは今年は特に雪が少なく、予定していたコースが事前に変更となり基本的にはクロカンエリアと林道を組み合わせたコースとなっていました。雪が少ない場所には事前に地元のボランティア含めスタッフの方が雪を運んで整備するくらい今年は異常だったみたいです。コースの整備は相当大変だったことは想像に難くなく、スタッフの方々には頭が下がります。
おかげでコースは非常に走りやすく、迷うこともなくスムーズでした。
レース時のウェア
当日のウェアは悩みましたが、晴れて気温もあがり暑くなりそうでしたので、以下をチョイスしました。
- スノーシュー
- 大会本部より貸出がありますのでレンタルしました
- 頭部
- キャップの代わりにヘッドバンド&サングラス(天候によってはニット帽が必要と思います)
- トップス
- 化繊の長袖Tシャツ1枚
- こちらも天候によっては薄めのシェルジャケットなどあって良いかもしれません(動き続けるのでインシュレーターの着用は不要です)
- ボトムス
- スポーツタイツに短パン
- スキーソックス
- スパッツ(雪が靴の中に入るのを防止)
- シューズ
- ゴアテックスのトレランシューズ
- 薄手のグローブ
- その他
- トレラン用のザックに薄手のシェルジャケットと水500ml程度を持っていきましたが、正直不要でした
- 汗をあまりかかないので、トレランのように水分やミネラル不足はほとんど気にしてくても良かったです
- トラブルなどを想定して多少の装備を携行してレースに臨むのがベストだとは思いますが、ザックを着用している選手はほとんどいませんでした
いよいよスタート!
今回のレースには、招待選手としてトレイルランナーの星野由香里さんと福島舞さんが参加されており、簡単な紹介とみんなで集合写真の撮影が終わるといよいよスタート。
雪が新雪でないこともあり、おろかにも序盤から比較的飛ばしているとあっという間に息が切れ、いきなりペース配分を間違えるという失態。長い登りに差し掛かったところで心肺が悲鳴をあげたので走るのを諦め、歩きモードで呼吸を回復。
途中、星野さんや福島さんに声をかけられなんとか走り出し、苦しく長い登りを終えると、そこには私設のエイドステーションが!おいしいイチゴをいただきエネルギーを補給したら、今度は長い下り坂。下りは楽しいですね〜。ここは飛ばしました。
ちょうど10km地点で一度ゴールエリア付近を通過するのですが、まだゴールはお預け。ここからまだ5kmもあると考えると若干心が折れかけましたが、なんとか踏ん張ります。
最後は起伏に富んだコースをこなし、そんなこんなでなんとか無事完走できました!
僕より先にゴールされていた星野さんに迎えていただき、記念写真をパチリ。いや〜、思った以上にしんどかったですが、これがもっと雪の多い大会だったらどんだけ大変なレースになるんだろうと思いながらも達成感でいっぱいでした。結果は1:55:00でなんと男子総合4位!我ながらがんばりました〜
もちろん、そのまま温泉にドボン!最高です!
レースログ
参考までにStravaでの記録です。
レースを終えて
大会を通じて感じたのは、スタッフも選手もみんなフレンドリーでとてもアットホームな大会であったことです。レース参加者もまだ多くはなく50名弱、選手やスタッフともすぐ顔見知りになりお互いの健闘を称え合いました。
おまけですが、スポンサーから提供された賞品も参加者みんなで山分けというのも魅力の一つ!?です。
スポーツとしては、自然の中を走るという観点では、冬の間はなかなか山を走れないトレイルランナーにとって相性が良いと思いますし、トレランほど長時間の耐久レースという感じではないのでロードがメインのランナーでも十分挑戦できる競技と思いました。もちろん、雪の上を足かせをつけて走るので、ロードよりははるかに負荷は高いです。
また、もっと雪の多い大会ではまた違った印象になるだろうとは思います。きっと上りはもっと地獄、下りはもっと天国!?
参考)白山大会
新雪の中を走るというのも爽快そうですね〜よりキツそうですが・・・
最後に
ここまで読んでくださってありがとうございます。今回始めて参加した身ではありますが、少しでもスノーシューレースに興味をもつ方が増えると良いなと思える大会でした。
まずは体験!ということで、エントリー締切間近ですがぜひ奥志賀大会のエントリーもご検討ください。エントリー期限過ぎてても、この記事を見られた方は理事に掛け合ってみますので、contact@goalp.comまでご連絡ください。
奥志賀大会要項
- 主催者
- 奥志賀高原常会
- 開催期間
- 2019年4月13日(土)~2019年4月14日(日)
- 開催場所
- 長野県下高井郡山ノ内町 奥志賀高原スキー場
- 種目
- 15km、5km
ありがとうございました!
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当サイト「GoALP – 山を楽しむ人のための安心・安全登山メディア」の監修者でもあり、登山を教えることのできる者が集まった非営利集団で、山岳事故を減らすための啓発活動をしている日本登山インストラクターズ協会(2013年創立・岩崎元郎代表)が、来春より開催する6期目「JMIA登山講習会」の受講者を募集しています。あなたも、一年かけて実際に山に登りながら山岳指導者の手ほどきをうけてみませんか?
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