岩場での自己確保の方法 – 山の相談小屋

アクティビティ:一般登山, カテゴリ:山での行動方法・知識
相談者:Y.M (男性/50代)
登山を始めて8年になる54歳男性です。
普段は妻と二人で山行を楽しんでおり、最近テント泊も始めたところです。
丹沢を中心に、日本アルプスのあまり難易度が高くないのない山道、岩場を経験し、雪山もガイドさんに習いながら上っております。
そこで、先日、木曽駒ケ岳の岩場で、カラビナ、スリング を装備して単独で登って行かれる方を散見しました。岩場での緊急時の自己確保などに使うのかと思いますが、クライミングではなく、登山の過程での難易度が高い岩場での自己装備の必要性と、その習得方法を知りたいです。講習会だとクライミングシューズを使ってのロープクライミングがほとんどで、習得方法がわかりません。よろしくお願いいたします。

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JMIA認定インストラクター
松本 善行
松本です。

1.必要性について
岩場の経験と技術の習熟度からくる、根拠のある自信の程度によります。
滑落や転落の可能性がある岩場を一つのハザードと考えた場合、確保を基本とするロッククライミングというスタイルで登るなら、その装備はそれに準じたものとなり、ある意味リスクは低くなります。一方、岩場を縦走というスタイルで登るなら、確保の要否は登降者の判断に委ねられ、自己確保がされない場合、リスクは高くなります。しかしリスクは高くなっても、先ほどの根拠のある自信に基づけば、リスクを下げることはできます。

具体的な例を挙げると、群馬県には谷川岳というロッククライミングで有名な山と、上毛三山の一つ、妙義山という顕著な奇岩を持つ山があることはご存じのことと思います。
この二つの山のリスクの高低を単純に比較することは出来ません。なぜなら谷川岳の岩場ではクライミング中の事故は確保していても起こり得る難易度が高いことなどが原因ですが、妙義山での稜線上の転落事故は、鎖の整備が行き届き、難易度も谷川岳の岩場ほど高くはないために、確保の省略などが原因で発生するからです。
つまりそこが落とし穴であって、確保が要るか要らないかのギリギリのラインというのが、実は一番問題視される部分です。

多少脱線してしまいましたが、一つの指標として、バランスを要する箇所、或は注意力を落とせない箇所において、恐さや足がすくむ感じを覚え、それが毎回著しいなら装備の必要があるとみてよいでしょう。

2.習得方法について
一つに、「危険箇所の通過」というようなテーマの講習会を探してみてはいかがでしょうか。
また、「ヴィア・フェラータ」も一つのキーワードとなるでしょう。
(ヴィア・フェラータとはシステムの名称で、ヨーロッパや東南アジアなどでは、自己確保用のワイヤーが岩壁に張り巡らされた専用のコースを、そのシステムを使って登り降りしたりします。)

尚、上記は鎖や梯子、または自然物等に自己確保を施すことを主として述べましたが、ロッククライミングのカテゴリーを除く、他の危険回避技術には懸垂下降が含まれます。この技術を含めた包括的な技術を学びたいと思う場合は、山岳会などの門をたたくことが一つの重要な選択肢となります。

解決相談者:Y.Mさん
非常に詳しく解説いただきありがとうございます。
自信があるかないか、それを裏付ける経験や技術があるかないか。ご教示頂いたような講習会などで身につけていくことを考えていきます。ありがとうございました。

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